(※写真はイメージです/PIXTA)

退職後は自然の多い場所でのんびり暮らしたい――。そんな希望から、都市部を離れて住み替える人もいます。ただ、60代で快適だった住環境が、そのまま70代、80代にも適しているとは限りません。住み始めてから、体力や移動手段の変化をきっかけに、再び住まいを考え直すこともあります。

「車がない1日」を考えてみた夫婦…4年目に始めた次の家探し

家から最寄りのバス停までは徒歩約10分。しかし本数は多くありません。

 

「じゃあ、一度、車を使わないつもりで生活を考えてみようか」

 

夫婦は普段の行動を書き出してみました。

 

スーパーへの買い物、真理子さんの通院、銀行、市役所。さらに、庭の肥料や培養土など重い物を買うときにも車を使っています。

 

「今は困ってない。でも、80歳になっても同じようにできるかな」

 

康夫さんのその言葉で、夫婦は住み替えを検討し始めました。

 

内閣府の同調査では、現在の地域について「日常の買い物に不便」と回答した人が23.9%、「医院や病院への通院に不便」が23.8%、「交通機関が高齢者には使いにくい、または整備されていない」が21.5%でした。また、住まいや地域の環境で重視する点では「医療や介護サービスなどが受けやすいこと」が61.4%、「駅や商店街が近く、移動や買い物が便利にできること」が54.1%となっています。

 

夫婦が次の住まいとして選んだのは、地方都市の中心部にある中古マンションでした。駅やスーパー、クリニックが徒歩圏内にあり、バスも利用できます。

 

「またマンションに戻るの?」

 

娘に聞かれた真理子さんは、笑って答えました。

 

「土いじりは楽しいよ。でも、この家では暮らし続けられないと思ったの」

 

庭のある一戸建ては売却し、マンションへの転居を予定しています。

 

ただ、家庭菜園まで諦めるつもりはありません。転居後は近くの市民農園を借りることも検討しています。

 

真理子さん夫婦の場合、田舎への移住が失敗だったわけではありません。畑仕事を楽しんだ4年間があったからこそ、次の住まいでは何を残し、何を変えたいのかが具体的になりました。

 

住みたい家と、この先も暮らし続けやすい家は、必ずしも同じではありません。年齢や体力、運転などの条件が変われば、住まいに求めるものも変わります。一度選んだ家に住み続けることだけでなく、その時々の生活に合わせて住み替えることも、老後の選択肢の一つといえるでしょう。

 

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