「私の年金って、これだけ?」離婚を前に初めて確認した金額
「退職金は3,300万円あるんだから、半分は私がもらえるんでしょう?」
由美さんは当初、そう考えていました。
しかし、財産分与は夫名義の財産なら対象外という制度ではない一方、退職金を含むすべての財産を単純に半分にする制度でもありません。
婚姻中に夫婦の協力によって形成・維持した財産が対象となり、退職金についても婚姻期間と勤務期間の重なりなどを踏まえて検討されます。2026年4月施行の改正民法では、財産形成への夫婦の寄与は、異なることが明らかでない限り等しいものとされました。
自宅をどうするかも問題でした。
由美さんは当初、「私がここに住み続けたい」と考えました。しかしマンションを取得すれば、その価値も財産分与の中で考える必要があります。さらに固定資産税や管理費、修繕積立金は離婚後も続きます。
そして、由美さんが最も動揺したのが年金でした。
「夫婦でもらえる年金額しか見ていなかったんです。自分がいくらなのか、ちゃんと把握していませんでした」
離婚時には厚生年金の年金分割制度があります。ただし、夫の年金受給額をそのまま半分ずつ受け取る仕組みではありません。対象となるのは婚姻期間中の厚生年金記録です。日本年金機構によると、2026年4月1日以降に離婚した場合、分割請求の期限は原則として離婚日の翌日から5年以内となっています。
由美さんは年金事務所への相談も検討し、自分の年金見込額と分割制度について確認することにしました。
同時に、毎月の生活費も書き出しました。
食費、光熱費、通信費、医療費。マンションに住み続ける場合の管理費と修繕積立金。一人暮らしになっても、支出が単純に夫婦2人分の半額になるわけではありません。
由美さんはまだ離婚に合意していません。隆司さんも離婚届を急がず、夫婦は財産の確認をしながら話し合いを続けています。
長く専業主婦だったからといって、婚姻中に築いた財産への権利がなくなるわけではありません。また、年金分割という制度もあります。だからこそ、離婚後の生活を考える際には「夫名義か妻名義か」だけで判断せず、財産分与の対象になる資産や自分自身の年金、今後の住居費を一つずつ確認することが重要です。
夫婦単位では十分に見えた老後資金でも、別々に暮らすとなれば住居も家計も二つになります。退職後の離婚では、財産をどう分けるかだけでなく、その後の毎月の収支まで見通す必要があります。
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