「私、一人ならいくら必要?」63歳で初めて計算した生活費
美智子さんがさらに不安になったのは、離婚後の毎月の収入を考えたときでした。
現在はパート収入がありますが、いつまで続けられるかは分かりません。65歳から受け取る自分の年金見込額を確認すると、夫婦2人で暮らす前提で考えていたころとは印象が大きく変わりました。
「夫の年金と合わせれば生活できると思っていたんです。でも、自分一人になったらどうなるのかなんて計算したことがありませんでした」
離婚時には厚生年金の年金分割制度もあります。
ただし、夫が将来受け取る年金額そのものを夫婦で半分にする制度ではありません。婚姻期間中の厚生年金記録を対象に、合意や裁判手続などによって按分します。
日本年金機構によると、2026年4月1日以降に離婚した場合、年金分割の請求期限も原則として離婚から5年です。
さらに美智子さんは、65歳になるまでの約2年間をどう暮らすかも考えなければなりませんでした。
自宅をどちらが取得するのか。売却するなら次にどこへ住むのか。家賃はいくらかかるのか。医療費や将来の介護費をどの程度見込むのか。
「3,600万円という数字だけを見たときは、老後のお金は大丈夫だと思っていました。でも、それは夫婦2人でこの家に住み続ける前提だったんですよね」
その後、2人はすぐに離婚届を出すことはせず、財産の整理を進めながら話し合っています。
美智子さんも離婚そのものに納得したわけではありません。それでも、「離婚しないで」と求めることとは別に、自分一人になった場合の生活を具体的に考えるようになりました。
夫婦で暮らしている間は、預貯金や退職金、住まい、年金を「世帯のお金」として捉えることがあります。しかし離婚を考える段階では、それぞれがどの財産を持ち、その後どれほどの収入と支出で暮らすのかを改めて確認する必要があります。
特に退職前後の離婚では、働いて収入を増やせる期間が若い世代より限られることもあります。資産総額だけを見るのではなく、住居費を含めた毎月の生活費や将来受け取る年金まで整理することが、その後の生活を考えるうえで重要になります。
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

