72歳妻が入院した際、保証人を務めたのは81歳の夫でした。しかし、子がおらず頼れる親族もいない「おふたりさま」の場合、夫自身が倒れたら誰が二人の生活を支えるのでしょうか。本記事では、72歳妻の入院を機に「もし自分が倒れたらおしまい」という恐怖に直面し、身元保証会社との契約を決断した81歳男性の事例をもとに、配偶者が元気なうちに考えておきたい終活の備えについて、弁護士の清水勇希氏が解説します。

【弁護士が助言】おふたりさまがすべき「いざというときの情報共有」

まずは、入院時の連絡、病院への付き添い、買い物、支払いなど、日頃それぞれが担っていることを書き出してください。

 

次に、相手が動けない場合の連絡先と依頼先を決めます。親族には年齢や距離だけで判断せず、実際に何を引き受けられるかを確かめましょう。

 

通帳や保険証券の保管場所、毎月の支払先、かかりつけ医、服薬情報も共有します。どちらか一方だけが家計を管理していると、もう一方が支払いの全体像を把握できないことがあります。情報は紙などにまとめ、二人が取り出せる場所を決めておくと役立ちます。

 

病気や介護が必要になったとき、どこで暮らしたいか、誰に相談してほしいかも、それぞれの希望を話し合います。葬儀や納骨の希望、連絡してほしい人も同様です。

 

夫婦だから希望は同じだと決めつけず、変わったときには書き直せる形で残してください。なお、入院による治療が必要な患者について、身元保証人がいないことだけを理由に入院を拒否することは、医師法に抵触すると厚生労働省は通知しています。

 

身元保証会社との契約が入院の絶対条件ではありません。困ったときは地域包括支援センター等にも相談し、自分にとって必要なサービスは何か、使える支援を整理しましょう。

身元保証会社の費用と支援内容…「治療への同意」との違いに要注意

外部の支援を利用する場合は、夫婦のどちらに、何を頼む契約なのかを確認しましょう。
たとえば一方が先に亡くなったあとも、もう一方への見守りや生活支援が続くか。二人同時に対応が必要なときはどうするか。契約前に具体的な場面を挙げて尋ねてください。

 

費用の目安としては、身元保証サービスが約60万〜70万円、死後事務サービスが約40万〜50万円、そして別途預託金が70万円程度から設定されており、これに加えて管理事務・定期見守りの月額費用として数千円程度がかかるケースが多く見られます。

 

預託金は葬儀・納骨・遺品整理などに要する実費を前もってお預かりするお金で、希望する葬儀の内容等により増減します。また、日々の通院や買い物の付き添いといった生活支援は別料金となり、通常のお手伝いは1時間数千円程度かかるのが一般的です。

 

夫婦で利用する場合の適用プランや総額は、二人それぞれの支援内容を伝え、確認する必要があります。また、支援を頼む範囲にも注意が必要です。

 

身元保証会社はあくまで本人の意思決定を支援する立場に過ぎず、身元保証の契約を締結したことにより、当然に事業者に医療行為への同意権が与えられるわけではありません。本人の希望を医療・ケアチームへ伝える支援と、治療への同意を区別して理解しましょう。

 

おふたりさまの終活は、どちらか一人が相手の将来を背負うものではありません。今の役割分担を二人で見直し、配偶者以外にも頼れる先をつくることから始めてはいかがでしょうか。

 

 

清水 勇希

株式会社あかり保証代表取締役/弁護士法人リット法律事務所弁護士

 

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