「スイスの銀行なら秘密は守られる」は過去の話?フランスが求めたUBS「口座情報」開示の経緯【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)
「顧客の秘密は絶対に守る」——そう信じられてきたスイスの銀行に、いま大きな風穴が開いています。スイス最大手UBSを舞台に、米国とフランスがそれぞれ繰り広げた口座情報開示をめぐる攻防の結果、約4万人分の顧客データがフランスへ引き渡されるという衝撃の判決が下りました。100年近く守られてきた「秘密主義」はなぜ崩れたのでしょうか。国際課税研究所首席研究員の矢内一好氏が解説します。
守秘義務に開いた風穴
この2つの事件と米国のFATCAおよびOECDによるAEOI導入により、銀行の顧客情報の守秘義務に風穴が開いたことは事実です。
1934年制定のスイス銀行法47条が体現してきた「顧客の秘密は絶対に守る」という原則は、もはや例外のない絶対的なものではなくなりました。
米国はFATCAという国内法を通じて、OECDはAEOIという多国間の自動的情報交換制度を通じて、それぞれ守秘義務の壁に風穴を開けており、スイスが最終的にAEOIへの参加を選んだことも、一国だけで守秘義務を貫くことがもはや困難になっている現実を物語っています。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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国際課税研究所首席研究員 博士(会計学)。
中央大学大学院商学研究科修士課程修了。昭和50年東京国税局に勤務、平成2年退職。産能短期大学助教授、日本大学商学部助教授、教授を経て平成14年中央大学商学部教授(平成30年退職)。税務大学校講師、専修大学商学研究科非常勤講師、慶應義塾大学法学研究科非常勤講師、新潟産業大学経済学部非常勤講師、武蔵大学経済学部非常勤講師を歴任。
著書に『国際課税と租税条約』(ぎょうせい、第1回租税資料館賞受賞)、『租税条約の論点』(中央経済社、第26回日本公認会計士協会学術賞)、『移転価格税制の理論』(中央経済社) 、『詳解日米租税条約』(中央経済社)など。
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