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ラップ口座の契約残高は投資信託全体の6%相当
個人の投資家を中心に、ここ数年で残高・契約件数が急拡大している「ラップ口座(Wrap Account)」。日本投資顧問協会の発表によると、2016年9月末で残高は6兆197億円、契約件数は52万8,046件になっており、残高でいえば日本の投資信託全体の6%相当の水準にまで成長しています。
ラップ口座とは、金融機関(銀行や証券会社)が投資家と「投資一任契約」を結び、資産配分や運用、管理などを一括で行うものです。売買手数料は不要ですが、運用資産残高から一定の料率の投資顧問料と管理手数料を、金融機関に支払う仕組みです。
ラップ口座には大きく分けて2つのタイプがあります。ひとつは「SMA(Separately Managed Account:別々に管理された口座)」と呼ばれる、最低投資金額が5,000万円や1億円以上となる富裕層向けの口座です。もうひとつは「ファンドラップ」と呼ばれるもので、最低投資金額が300万円~500万円程度で、投資信託(ファンド)への投資に絞った口座です。そして現在、大きく残高を伸ばしているのは、後者のファンドラップです。
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一番の課題はコストが高くなりやすい点
ここからはラップ口座、特にファンドラップが抱えていると指摘される課題を3つ説明します。
まず、一番の課題はコストが高いということです。ファンドラップには、資産残高に応じてかかる「投資一任報酬」と、投資先のファンドの「信託報酬等」の2つの手数料が発生します。平均で年間2.2%程度といわれています。
金融庁がファンドラップと一般の投資信託(販売手数料3%、信託報酬等手数料1.5%)を、保有コストの観点から比較したレポートを出しています。これによると、保有期間が4年を超えると、ファンドラップの方がコストが高くなると指摘されています。
二つ目の課題は、投資対象となる商品選定が不透明である点です。現状、多くのファンドラップでは、販売会社と同系列の投資運用会社が運用する投資信託が中心に選ばれており、その割合は平均で5割近くになっています。本来ならば運用成績の良い投資信託から選ばれるべきですが、そうはなっていないということです。
最後の三つ目は、各社とも何種類かの運用パターンでパッケージされた商品を提案しており、海外のプライベートバンクで見られるような、顧客一人ひとりのニーズに合わせたオーダーメイドの商品にはなっていないという点が挙げられます。
以上のように、現時点では大きな課題を抱えるラップ口座ですが、悲観ばかりすべきでもないでしょう。というのも、ラップ先進国の米国においては、ラップ口座残高は4兆ドル相当と、全体の投資信託残高(約18兆ドル)の約2割に達していることからも、手数料体系の見直しや商品選定の透明化、商品ラインナップの多様化などが進めば、日本での取り扱いもさらに拡大する可能性がありますし、筆者としても期待しているところです。
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