(※写真はイメージです/PIXTA)

進学や就職を機に、親元を離れて都市部で暮らし始める若者は少なくありません。毎月きちんと給料をもらっていると聞けば、親もひとまず安心するでしょう。しかし、同じ収入でも住む場所によって家賃などの負担は異なります。離れて暮らしているからこそ、実際の生活を見て初めて分かることもあります。

「ちゃんと食べてる?」久しぶりに見た息子の冷蔵庫

東北地方に暮らす美智子さん(仮名・54歳)には、東京で一人暮らしをする26歳の息子・翔太さんがいます。

 

翔太さんは大学卒業後、都内の会社に就職。現在の月収は額面で約28万円です。

 

社会人になって4年。母親にお金を頼んできたことはなく、毎月少額ながら貯金もしていると聞いていました。

 

そんな美智子さんが久しぶりに上京したのは、春のことでした。用事で東京へ行くことになり、翔太さんの部屋に1泊させてもらうことにしたのです。

 

住んでいたのは、都心から電車で30分ほど離れた場所にあるワンルーム。家賃は管理費を含めて月約7万5,000円でした。

 

「思ったより家賃するのね」

 

そう言うと、翔太さんは「これでも駅から離して探したんだよ」と笑いました。

 

その日の夕方、美智子さんは夕食を作ろうと冷蔵庫を開けました。

 

入っていたのは卵、納豆、豆腐、少量の野菜、作り置きのおかず。冷凍庫には小分けにしたご飯と鶏肉が入っています。

 

棚にはパスタやインスタントラーメンもありました。

 

「食費は足りてる? もっとちゃんと食べたほうがいいんじゃない?」

 

美智子さんが尋ねると、翔太さんは「普通に食べてるよ」と答えました。

 

朝はトーストや卵。昼は前日の残り物を詰めた弁当か、コンビニのおにぎり。夕食も週の大半は自炊しています。

 

外食は友人と会うときくらいで、一人ではほとんどしないそうです。美智子さんには少し意外でした。

 

「東京で働いているし、28万円もらっているって聞いていたから、もう少し余裕があると思っていたんです」

 

総務省『家計調査年報(家計収支編)2025年』によると、34歳以下の単身勤労者世帯の1ヵ月の消費支出は平均約17万9,200円です。若い単身者であっても、住居や食費、光熱・水道、交通・通信など、日々の生活にはまとまった支出が発生しています。

 

翔太さんの場合、額面28万円から税金や社会保険料などが引かれます。そこから家賃7万5,000円を払い、光熱費、通信費、日用品などを出すと、自由に使える金額は母親が想像していたほど多くありませんでした。

 

「別に困ってるわけじゃないよ。外食を増やしたら貯金できなくなるから、自炊してるだけ」

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