「せっかくだから長くいれば?」8泊9日の帰省を喜んだ夫婦
隆夫さん(仮名・70歳)と妻の洋子さん(仮名・69歳)は、夫婦合わせて月約29万円の年金で暮らしています。住宅ローンを完済した4LDKの一戸建てに住み、預貯金は約3,300万円あります。
一人息子の健太さん(42歳)は、妻と小学5年生、2年生の子どもと暮らしており、実家までは新幹線を使って約3時間です。
毎年夏休みには帰省していましたが、これまでは2泊か3泊ほど。今年は健太さんがまとまった休みを取れたため、「8日くらいいてもいい?」と連絡がありました。
洋子さんは、すぐに「もちろん。せっかくだから長くいれば?」と答えました。
孫たちに会えるのは久しぶりです。
帰省前には布団を干し、普段使っていない2階の部屋を掃除。孫が好きなジュースやアイスを買い、初日の夕食には寿司を用意しました。
最初の2、3日はにぎやかで、夫婦も楽しんでいました。
ところが4日目あたりから、洋子さんは朝起きた瞬間に「今日の昼と夜は何にしよう」と考えるようになります。
普段は夫婦2人なので、昼食は残り物や麺類で簡単に済ませる日もあります。しかし6人となれば、そうはいきません。
朝食を片づけると、昼食。昼食が終われば夕食の買い物。食器の量も増え、洗濯機も毎日のように回します。
隆夫さんも孫をプールへ連れていったり、買い物のために車を出したりしていました。
「息子たちは『そんなにしなくていいよ』って言うんですよ。でもせっかく帰ってきているから、ちゃんとしてあげたくなるんですよね」
内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、65歳以上で日常生活のなかで家族や知人から「子や孫の世話」を頼られる人は26.0%です。「家事」を頼られる人も35.9%にのぼります。
帰省6日目の夜、孫たちが寝たあと、洋子さんが小さな声で言いました。
「帰ってきてくれるのはうれしいんだけど……私、もう疲れちゃった」
隆夫さんも苦笑いしました。
「俺も。悪いけど、ちょっと早く帰ってほしいと思ってる」
