(※写真はイメージです/PIXTA)

孫と過ごす時間を楽しみにしている祖父母は少なくないでしょう。保育園の送迎や留守番を頼まれ、「自分たちにできることなら」と手を貸すこともあります。しかし、頼まれるたびに応じているうちに、夫婦自身の予定が後回しになってしまうことも。善意で始めた孫の世話だからこそ、負担を感じても言い出しにくい場合があります。

「その週はいないから」初めて孫より優先した夫婦の予定

孫と過ごすことが嫌なわけではありません。それでも振り返ると、夫婦は自分たちの予定を入れる前に、真理さん一家の予定を確認するようになっていました。

 

「私も『来週は何か頼まれるかもしれない』と思って、平日の予定を空けるようになっていたんです」

 

旅行の話も、いつの間にか「孫を預からなくていい日を探して行くもの」になっていました。

 

そこで夫婦は、先に自分たちの予定を決めることにしました。翌月、行きたかった温泉旅館を予約し、そのあとで真理さんに伝えました。

 

「その週は旅行に行くから、私たちはいないよ」

 

恵美さんは、少し身構えていたといいます。ところが真理さんから返ってきたのは、「いいじゃん、行ってきなよ」という言葉でした。

 

「水曜日のお迎えは大丈夫なの?」と恵美さんが尋ねると、「その週は私が早く帰るか、夫と調整するから大丈夫」と言われました。

 

そこで恵美さんは、自分たちがいなければいないで、娘夫婦は別の方法を考えるのだと気づきました。

 

内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』では、60歳以上が今後優先的にお金を使いたいものとして、「趣味やレジャー(旅行等)」を挙げた人は32.4%。「子や孫のための支出(学費、こづかい等)」の25.8%を上回っています。老後のお金を何に使いたいかについても、自分たちの楽しみと子や孫への支援の双方が選択肢になっています。

 

旅行から帰ったあとも、夫婦は孫の世話をやめたわけではありません。空いている日なら迎えに行き、週末に孫だけが泊まりに来ることもあります。

 

ただし、先に予定があれば「その日は無理」と言うようになりました。

 

「前は断ったら娘が困ると思っていました。でも、娘たちにも私たち以外の方法はあるんですよね。こっちが何でも引き受ける必要はなかったんです」

 

最近では、修一さんが月に2回ゴルフへ出かけ、恵美さんも友人とのランチや習い事の予定を入れています。次の旅行先について夫婦で話すことも増えました。

 

もちろん、子育て中の家族を祖父母が支えることは、双方にとって助けになる場合があります。一方、退職したからといって、祖父母の時間がすべて自由に使える時間になるわけではありません。

 

孫との時間を大切にすることと、自分たちの生活を大切にすることは、どちらか一方を選ばなければならないものでもないでしょう。できるときには手伝い、予定があるときには断る。家族だからこそ、無理なく続けられる距離をその都度話し合うことも、長い老後を自分たちらしく過ごすためには必要なのかもしれません。

 

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