「これもお願いしていい?」初孫が生まれ、増えていった出費
「お母さん、来月の誕生会なんだけど、この日なら来られる?」
一人息子の直樹さん(仮名・36歳)から連絡を受けたとき、裕美さん(仮名・65歳)はすぐには返事をしませんでした。
裕美さんは4年前に夫を亡くし、一人暮らし。会社員を60歳で退職したあと再雇用で働き、65歳になった今年、仕事を完全に辞めたばかりです。現在の年金収入は月約17万円、預貯金は約2,300万円。住宅ローンを完済したマンションで暮らしています。
直樹さん夫婦に初めての子どもが生まれたのは1年前。裕美さんにとって待望の初孫でした。
出産祝いには10万円を渡し、そのほかにもベビーベッドやチャイルドシートなど、必要なものをいくつか買いました。
「初孫だったので、私も浮かれていたんだと思います。『何か必要なものある?』と、自分から聞いていました」
その後も、お宮参りのあとの食事代を裕美さんが負担し、初節句には五月人形の購入費として数万円を渡しました。
一つひとつは、自分が納得して出したお金です。ただ、半年ほどすると、直樹さんから届くメッセージの内容が少しずつ変わっていきました。
「今度ベビーカーを買い替えたいんだけど、これどう思う?」
商品ページが送られてきたかと思えば、「半分出してもらえると助かる」と続くこともありました。
直樹さん夫婦は共働きで、生活に困窮しているわけではありません。しかし育児用品や保育料など出費が増え、「おばあちゃんが出してくれるなら助かる」という感覚になっていたようです。
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』では、60歳以上で子や孫の生活費を「ほとんど負担している」人は6.6%、「一部を負担している」人は18.6%で、合わせて25.2%。65~69歳では27.5%が何らかの負担をしています。
裕美さん自身も、「息子夫婦を助けたい」という気持ちはありました。一方、65歳になって給与収入がなくなると、お金の見え方が変わったといいます。
ある月、家電の買い替えと固定資産税の支払いが重なり、預金口座からまとまった額が減りました。そのとき、初めて「これからは入ってくるお金より、出ていくお金を考えなければ」と感じたのです。
そんな時期に届いたのが、初孫の1歳の誕生会への誘いでした。
