「私にはもう会いたくない?」娘に聞いて分かったこと
誕生日から数日後、由香さんから電話がありました。和代さんは迷った末、「お小遣いをやめてから、みんな来なくなった気がする」と口にしました。
「私がお金を出さなくなったから?」
由香さんは驚き、「違うよ」とすぐに否定しました。
高校生になった上の子は休日も部活動があり、下の子も塾や友人との予定が増えています。以前のように家族4人の予定が簡単には合わなくなっていました。
母の日についても、「今年はみんなの予定が合わなかったから、また今度でいいと思ってた」といいます。
ただ、由香さんは続けて、こんなことも話しました。
「お母さんのところに行くと、ご飯を食べに行って、お小遣いももらってっていうのが、いつもの流れにはなってたかもしれない。お母さんがやめるって言ってから、私も『用事がないのに行こう』って考えなくなってた」
その言葉を聞き、和代さんにも思い当たることがありました。
孫が来れば「何が食べたい?」と聞き、お小遣いを用意する。何か買ってほしいと言われれば、一緒に出かける。それが自分にとっても、孫と過ごすきっかけになっていたのです。
内閣府の同調査では、今後優先的にお金を使いたいものとして「子や孫のための支出(学費、こづかい等)」を挙げた人は25.8%でした。一方、「自分や配偶者あるいはパートナーの医療・介護の費用」は47.5%、「趣味やレジャー(旅行等)の費用」は32.4%となっています。
その後、和代さんは「来てほしい」と何度も誘うことをやめました。
代わりに由香さんとは、ときどき2人で昼食をとるようになりました。孫には誕生日など節目にプレゼントを贈りますが、会うたびに現金を渡すことはありません。
しばらくして、高校生の孫から「部活が休みだから、おばあちゃんち行っていい?」とメッセージが届きました。
その日は外食には行かず、家にあった菓子を食べながら学校の話を聞きました。帰り際にも、お小遣いは渡しませんでした。
「何もあげなくても、来るんだなって。当たり前なんですけど、ちょっと安心しました」
母の日も誕生日も、以前のように家族が集まることはありませんでした。だからといって、お小遣いをやめたことだけが家族の距離を変えたわけではありません。孫は成長し、それぞれの予定が増え、家族の過ごし方そのものが変わっていたのです。
和代さんにとって必要だったのは、以前と同じ回数だけ会うことでも、お金を使って喜ばせ続けることでもありませんでした。何かを買ってあげる予定がなくても、会いたいときに会う。家族の形が変わるなかで、そんな付き合い方を新しく作り直しているところです。
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