5LDKから2LDKへ…「持っていかないもの」を決めた半年間
二人が住み替え先として選んだのは、電車で30分ほど離れた駅近の中古マンションでした。
駅から徒歩6分。スーパーとドラッグストアが近く、かかりつけにできそうなクリニックも徒歩圏内にあります。
間取りは2LDKです。
国土交通省『令和5年住生活総合調査』では、65歳以上の夫婦世帯が今後の住み替えで重視する住宅の質として、「高齢者への配慮(段差がない等)」や「広さや間取り」などが挙げられています。また、住宅周辺の環境では「日常の買物などの利便」を重視する傾向がみられます。
洋子さん夫婦も、広い家を探すことはやめました。
ただ、5LDKから2LDKへの住み替えには、一つ大きな問題がありました。荷物です。
子どもたちの学習机、古い本、何年も使っていない食器、来客用の布団。押し入れや物置には、「いつか使うかもしれない」と残してきた物が大量にありました。
夫婦は子どもたちに連絡し、必要な物は期限を決めて引き取ってもらいました。残った物は半年ほどかけて少しずつ処分しました。
特に洋子さんが迷ったのは、大きな食器棚でした。
「5人で暮らしていたころは、これでも足りないくらいだったんです。でも今は、使っているお皿なんてほんの一部でした」
戸建ては土地を含めて約3,200万円で売却。購入した中古マンションは諸費用を含め約2,700万円でした。売却に伴う仲介手数料や引っ越し費用などもかかりましたが、預貯金を大きく取り崩さずに住み替えることができました。
マンションでは毎月約3万円の管理費・修繕積立金が必要です。戸建て時代にはなかった固定的な支出なので、購入前には長期修繕計画や積立金の状況も確認しました。
引っ越して数ヵ月。洋子さんが特に変わったと感じるのは、掃除にかかる時間です。
以前は1階を終えてから掃除機を持って2階へ上がっていましたが、今は午前中のうちに家全体の掃除が終わります。庭の草むしりもありません。
正志さんは車を手放し、買い物には歩いて出かけるようになりました。
「狭くなったというより、使うところだけになった感じですね」
30年以上暮らした家を売るときには、寂しさもありました。子どもたちの身長を書き残した柱も、家族で食事をしたダイニングも、その家に置いていくことになります。
それでも、広さが必要だった時期と、夫婦二人で暮らす今とでは、住まいに求めるものも変わりました。
大きな家を持ち続けることより、掃除や管理にかける時間を減らし、日々の移動を楽にすること。洋子さん夫婦にとって5LDKから2LDKへの住み替えは、今の二人に必要なものを選び直す機会になりました。
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