(※写真はイメージです/PIXTA)

成人した子どもの生活を心配し、毎月の仕送りを続ける親もいます。しかし、援助が終われば、その分だけ自分の家計に余裕が生まれるとは限りません。長く子どもへの支出を優先してきたことで、自分自身の生活費が実際にどのくらいかかっているのか、改めて見直すことになる場合もあります。

「もう送らなくていい」3年間続いた月4万円の仕送り」

「母さん、来月からお金はもう送らなくていいから」

 

長男の和也さん(仮名・41歳)から電話でそう言われたとき、由美子さん(仮名・72歳)は思わず「本当に?」と聞き返しました。

 

由美子さんは夫を6年前に亡くし、一人暮らし。年金は月約14万円、預貯金は約900万円あります。住宅ローンを完済したマンションに住んでいます。

 

和也さんは数年前、勤めていた会社を辞めて転職しました。しかし新しい職場では収入が下がり、さらに離婚をきっかけに一人で賃貸住宅へ移ったため、生活が不安定になりました。

 

「少し落ち着くまで助けてほしい」

 

そう頼まれ、由美子さんが始めたのが月4万円の仕送りです。

 

当初は半年ほどのつもりでしたが、和也さんの収入はなかなか以前の水準には戻りませんでした。半年が1年になり、そのまま3年ほど続きました。

 

由美子さん自身、年金月14万円で余裕があるわけではありません。管理費や修繕積立金、光熱費、食費などを支払ったうえで4万円を送ると、月によっては預貯金を取り崩すこともありました。

 

それでも、「息子の生活が落ち着くまで」と考えて続けていたのです。

 

内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』によると、60歳以上で、子や孫の生活費を「ほとんど負担している」人は6.6%、「一部を負担している」人は18.6%。合わせて25.2%が、何らかの形で子や孫の生活費を負担しています。

 

その和也さんから、ある日「もう送らなくていい」と言われました。転職先で昇給があり、生活もようやく安定してきたといいます。

 

「これからは自分でやれるから。今までありがとう」

 

電話を切った後、由美子さんはほっとしました。毎月4万円なら年間48万円です。

 

「これからは、その分を自分のために残せる」

 

友人との温泉旅行も我慢しなくていい。古くなった冷蔵庫もそろそろ買い替えられる。毎月少しずつ貯金も増やせるだろう――。

 

ところが半年後、由美子さんが通帳を確認すると、思っていたほど残高は増えていませんでした。むしろ、ほとんど変わっていなかったのです。

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