「毎週行くの、しんどかった?」娘と初めて話した夜
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』によると、60歳以上の人のうち、子や孫の生活費を「ほとんど負担している」人は6.6%、「一部を負担している」人は18.6%で、合わせて25.2%でした。また、今後優先的にお金を使いたいものとして「子や孫のための支出」を挙げた人も25.8%に上ります。高齢期にも、子や孫を経済的に支える家庭は一定数あります。
恵子さんの場合、家計が苦しくなったわけではありません。孫が来る週には食費やお菓子代が増えますが、それ以上に負担だったのは、自分の週末を自由に使えなくなっていたことでした。
翌週の金曜日、いつものように麻衣さんから「明日行ってもいい?」と連絡がありました。
恵子さんはしばらく迷った末、「今週はお父さんと二人でゆっくりしたいから、来週にしてもらっていい?」と返信しました。
すぐに「もちろん。何か予定あった?」と返ってきたため、「予定があるわけじゃないんだけど、最近ちょっと疲れてて」と伝えました。
その日の夜、麻衣さんから電話がありました。
「毎週行くの、しんどかった?」
恵子さんはそこで初めて、週末のたびに食事を考えることや、孫たちが帰った後の片づけが以前より負担になっていることを話しました。孫に会いたくないわけではない。ただ、毎週となると疲れる――言葉にすると、それだけのことでした。
一方の麻衣さんは、「いつでも連れておいで」と言われて以来、母も毎週楽しみにしていると思っていました。子どもたちが「おばあちゃんの家に行きたい」と言えば、むしろ親孝行になるくらいの気持ちで連れて行っていたといいます。
そこで、毎週土曜日に集まる習慣はいったんやめました。
そこで、毎週土曜日に集まる習慣はいったんやめ、月に2回ほどを目安に、互いの予定を確認してから会うことにしました。昼食は麻衣さん一家が買ってくる日を作り、夕方には帰宅することも増えました。
空いた土曜日、恵子さんは以前断った友人を誘って美術館へ行きました。翌週には夫と電車で少し離れた街まで出かけています。
そして2週間ぶりに孫たちが来ることになった金曜日、「明日行くね」という連絡を見たときには、久しぶりに素直に「何を作ろうかな」と思えたといいます。
内閣府の同調査では、60歳以上が今後優先的にお金を使いたいものとして、「趣味やレジャー(旅行等)」を挙げた人は32.4%、「友人等との交際費」は20.2%でした。高齢期には家族との時間だけでなく、自分自身の趣味や友人との付き合いも生活の一部です。
最初は楽しんでいたことでも、年齢や体力、生活の変化によって負担の感じ方が変わることもあるでしょう。一度決まった過ごし方を続けることにこだわらず、その時々の状況に合わせて頻度や役割を見直すことが、家族との時間を無理なく続けることにもつながります。
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