「夫婦の老後は安泰」のはずだった
「まさか貯金がこんなに減ってしまうなんて。今となっては後悔ばかりです」
会社員を60歳で定年退職した達夫さん(69歳・仮名)の退職金は、約1,700万円。現役時代からの貯蓄を合わせ、住宅ローンを完済したあとも約3,000万円の金融資産が残りました。
しかも、60歳から65歳までは再雇用で勤務。年収は約430万円あり、夫婦の生活費は給与でほぼ賄えていました。
「2,000万円問題って言われていたけど、60歳時点で余裕でそれ以上ありました。65歳からは夫婦で月23万円くらい年金も入るし大丈夫だろうと。安泰を確信していました」
実際、65歳を迎えたころの金融資産は約2,700万円。3,000万円からは減っていましたが、まだ2,000万円を大きく上回っています。
ところが、完全リタイアしてから、資産の減り方が変わっていきました。
「孫のためなら」と財布を開き続けて
達夫さん夫妻には、娘と息子がおり、孫は5人。子どもたちの家も車で1時間ほどと近く、週末や長期休暇には家族が集まることも珍しくありませんでした。
「孫が来ると嬉しくてね。食事を用意して、小遣いを渡して……。ついつい財布が緩んでしまうんです」
さらに、娘から「塾代が大変」と聞けば10万円、息子が車を買い替えるときには20万円。孫の入学祝い、誕生日、旅行費用なども負担しました。
「別に頼まれたわけじゃない。『これくらいなら出してあげよう』って、私と妻が進んで出していました」
しかし、家族への援助とは別に、家の外壁塗装に約120万円、給湯器交換に25万円、車の買い替えに約180万円。旅行や外食、レジャーにもお金を使いました。65歳以降は、年金だけでは足りない月の生活費も貯金から補填するように。
それでも、達夫さん夫妻は資産全体を細かく確認していませんでした。それが、その後の「衝撃の事実」に繋がっていくのです。
