住み替えて分かった固定費の重さ
夫婦が入居した当初、修繕積立金は月約1万3,000円でした。
それが見直し後は約2万円に上昇。管理費と合わせると、毎月3万8,000円ほどを支払うことになります。
さらに駐輪場代やインターネット設備の利用料などを合わせれば、住宅ローンがなくても毎月4万円を超える固定費がかかります。
「戸建てのころも修理にはお金がかかったでしょう。でも、毎月これだけ必ず出ていくという感覚ではなかったんです」
国土交通省の同調査では、修繕積立金を「段階増額積立方式」としているマンションは47.1%で、「均等積立方式」の40.5%を上回っています。特に完成年次が新しいマンションほど、将来段階的に積立額を引き上げる方式が多く、2015年以降完成のマンションでは81.2%を占めています。
夫婦は購入時にも管理費と修繕積立金の額を確認していました。しかし、「現在いくらかかるか」は見ても、「10年後、20年後にどの程度上がる可能性があるのか」までは十分に確認していませんでした。
明子さんが気になったのは、今後さらに年金生活が長く続くことです。
「今は月4万円でも払えます。でも80代になっても同じとは限らないし、また上がる可能性もありますよね」
一方で、戸建てへ戻りたいわけではありません。
車なしで買い物や通院ができる便利さは、夫婦にとって大きな安心です。戸建て時代のように屋根や外壁の修理を自分たちで業者へ依頼する必要もありません。
そこで夫婦は、住み替えが失敗だったと考えるのではなく、家計の計画を組み直すことにしました。
車を手放したことで減った支出と、マンションで新たに発生した管理費・修繕積立金を改めて比較。旅行や外食などに使っていた予算も含め、今後さらに固定費が増えても対応できるよう、毎月の支出を整理しました。
「便利になったぶん、お金がかからなくなると思い込んでいたんでしょうね。実際には、戸建てとは違う形で住まいにお金が必要でした」
マンションだから老後も安心、戸建てだから維持が大変と単純に分けられるものではありません。マンションには管理費や修繕積立金があり、将来その金額が変わる可能性があります。一方、戸建てでは修繕の時期や費用を所有者自身で考える必要があります。
高齢期の住み替えでは、現在の住居費だけでなく、10年、20年先まで住み続けたときにどのような支出が想定されるのかを見ることも重要です。買い物や通院の便利さと、長く払い続ける住居費の双方を比べて初めて、自分たちにとっての「安心」が見えてくることがあります。
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