半導体産業との相乗効果が生む新たな強みと人材の真価
現在、フィリピンは「半導体・電子機器産業」と「IT-BPM産業」という同国の二大産業による相乗効果の創出を目指しています。
一見すると、工場で物理的な製品を製造する「半導体産業」と、オフィスやオンラインでサービスを提供する「IT-BPM産業」は無関係に思えます。しかしIBPAPは、多国籍企業がフィリピンに進出する際、両者を組み合わせることで強力な相乗効果が生まれると分析しています。
第一のアプローチは、すでにフィリピンに半導体や電子部品の組み立て・設計拠点を置いているグローバル企業に対し、「工場だけでなく、自社の財務・会計、データ分析、物流管理、ITサポートなどのバックオフィス業務もフィリピンのGCC(自社拠点)に集約しませんか」と提案し、サービス業務を併設させる戦略です。
第二に、半導体の設計やテストといった高度なハードウェア技術と、サイバーセキュリティやデータ分析といったIT-BPM側の専門知識を国内で連携させることで、企業はサプライチェーン全体の効率化と高度化を達成できます。
データセンターやAI需要の拡大に伴い、フィリピンの半導体・電子機器の輸出額は2025年の496億4,000万ドルから、2026年には540億ドルへ拡大すると予測されています。この物理的な製造業の強みを足がかりにして、関連する高度な知的サービス業務も誘致することで、国全体としてより高い付加価値を生み出す狙いです。
世界中のクライアント企業は今なお、複雑な課題を解決し顧客対応を担う信頼できる専門スタッフやデジタル人材として、フィリピンの人材を高く評価しています。
AIの進化は脅威として語られがちですが、フィリピンにとっては自国の労働力を単なる「事務作業の代行者」から「高度な専門知識を持つナレッジワーカー」へと進化させる絶好の好機でもあります。
大量の労働力を提供する「量の拡大」から、GCCやAI技術を活かした「質の向上」へ——。フィリピンIT-BPM産業の挑戦は、急速に変化するグローバル・ビジネス環境において、進化を止めない新時代のオフショア戦略の姿を示していると言えます。
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