欧州参画で13カ国へ拡大したルソン経済回廊
9月11日、マニラ首都圏タギッグ市で開催された「ルソン経済回廊(LEC)投資フォーラム」において、欧州連合(EU)とスペインがLECへの正式加盟を発表し、参加枠組みは13カ国・地域に拡大しました(※参加:フィリピン、米国、日本、オーストラリア、カナダ、デンマーク、フランス、イタリア、韓国、スウェーデン、英国、スペイン、EU)。
LECは2024年に日米比の3カ国で発足した多国間イニシアチブです。スービック湾、クラーク、マニラ、バタンガスというルソン島の要衝を連結し、エネルギー、水資源、輸送、物流、デジタル接続、高度製造にまたがる38の投資準備プロジェクトを束ねています。そのうち18プロジェクトだけで200億ドル規模に達し、60億ドル規模のスービック・クラーク天然ガスエコシステムや、41億ドル規模のサングレー国際空港などが民間資金を募っています。
今回のEUの参画は、6000万ユーロのグリーン・エコノミー・プログラムと2000万ユーロのデジタル・エコノミー・パッケージをLECの優先課題へ連動させるものです。またスペインは、鉄道、航空、造船、再生可能エネルギーの送電網整備での協力を表明しました。マルコス大統領が「単なる資本の導入ではなく、雇用創出と技術移転、フィリピン人の能力強化を伴う投資が必要だ」と強調した点も重要視されています。
こうしたハード面のインフラ整備に加え、LECの「デジタル接続」の柱に呼応する形で、米ハイパースケーラー(巨大IT企業)の動きも活発化しています。フィリピン政府は9月8日、「AI+インフラ・マスタープラン2026-2033」を公表。現在の約50メガワットから1.5ギガワットへと、約30倍のAIデータセンター容量拡大を目指し、344億ドルの投資を想定しています。
このタイミングに合わせ、米国のハイパースケーラー2社がルソン島での現地調査に着手したと報じられました。両社とも5年間で約200メガワット規模の投資を検討しており、候補地にはクラーク、スービック、バターン、バタンガスなどが挙がっています。従来、ハイパースケーラーが電力や土地の情報収集に6〜9カ月を要していた課題に対し、政府が一元的に地図化を行って解消を図っています。

