2026年比・経済の見通し…上半期の減速と後半の回復シナリオ
アジア開発銀行(ADB)とシンガポールのユナイテッド・オーバーシーズ・バンク(UOB)は、フィリピン経済の2026年見通しについて相次いで分析を発表しました。両機関とも、上半期の低調な成長を認めつつも、後半の加速によって回復基調を取り戻せる可能性を指摘しています。
まず、成長率の現状を確認します。第2四半期のGDP成長率は前年同期比2.3%と、パンデミック後で最低水準に落ち込みました。上半期全体でも2.6%にとどまり、政府が掲げる3.5~4.5%の目標を下回っています。主な要因は、高インフレによる家計消費の抑制と、インフラ事業の執行遅れです。
家計最終消費支出は2.8%増と伸び悩み、固定資本形成は13.7%減、特に公共建設投資は32.4%減と大幅に落ち込みました。インフラ支出も上半期で前年同期比40.8%減の3674億ペソと、大きく減少しています。
こうした状況を受け、ADBは2026年通年の成長率見通しを7月に4.4%から3.8%へ下方修正しました。しかし、ADBの神田総裁(前・日本の財務官)は「3.8%達成の可能性は依然として残されている」と強調し、政府支出の大幅な加速と家計消費の回復が不可欠であるとの見解を示しています。
さらに「第2四半期の軟調な成長を克服し、後半に力強い回復を実現する必要がある」と述べ、政策執行の重要性を改めて浮き彫りにしました。資金調達の規模以上に事業執行の効率化が最大の課題であり、監督強化と迅速なプロジェクト実施が急務とされています。
一方、UOBは7~12月期の成長率を約4%と試算しています。通年では3.2%と政府目標には届かないものの、徐々に持ち直すとの見立てです。中東情勢の緊迫化やスーパーエルニーニョによる気象災害、インフレ再燃リスクなどを下振れ要因として挙げつつも、緩やかな改善傾向を想定しています。
物価動向についても、8月の消費者物価上昇率が6.1%と5カ月ぶりの低水準となったことを受け、2026年通年で6%、2027年には4%程度まで低下し、中央銀行の目標範囲(2~4%)に近づくと予測しています。

