「守る力」から「使う練習」へ
上司を亡くしたことをきっかけに、坂本さんは今、少しずつ「お金を使うリハビリ」を始めています。
まずは長年住んだアパートを退去し、同じ駅の築浅・駅近マンション(家賃13万円)へ引っ越しました。家賃は倍近くになりましたが、日当たりがよくきれいな部屋は、その金額を出しても惜しくないほどのメリットを感じているといいます。
「実は、家を買いたかったんです。でも、あまりにも高くなってしまって。いきなりそこまでは飛び込めませんでした」
国土交通省の不動産価格指数を見ても、、都内のマンション価格はこの10年で1.8倍近くに高騰しています。「今買うと高値掴みになるのでは」と躊躇してしまい、マイホーム購入には踏み切れなかったと笑います。
しかし、それでも引っ越しをできたのは大きな一歩。また、スーパーで習慣化していた、「別に食べたくないけれど、一番安いという理由で食材を選ぶ」ことをやめて、「本当に食べたいものを選ぶ」ことを意識するようになりました。
一方で、仕事については、保守的な考えを崩していません。
「FIRE(早期退職)は考えていません。仕事を辞めたら、それこそ社会との接点が完全に消えて、誰にも気づかれずに死んでいく未来しか見えません。自分にとって会社は、給料を得る場所であり、生存確認をしてくれる場所なんです」
口座のお金を「人生の豊かさ」に変える
NISAの口座数は令和7年12月時点で2,820万口座を突破。新NISA開始以降、投資熱はかつてないほど高まっています。「現金を寝かせるのはもったいない」「少しでも早く投資した人が勝つ」。そんな風潮のなか、生活を切り詰めてまで投資資金を捻出する“NISA貧乏”という言葉まで生まれています。
確かに節約や資産形成は素晴らしい習慣です。ただ、それ自体が目的化してしまうと、人生の選択肢を狭めることにもなりかねません。口座にあるお金をどう人生の豊かさに変えていくか。資産形成のその先を考えることが、後悔のない人生につながるのではないでしょうか。
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