「孫に会いたくないわけじゃない」夫婦が伝えた本音
その日の夜、恵子さんは俊夫さんに相談しました。
「10日間って言われたけど、どうする?」
俊夫さんは首を振りました。
「俺は無理だと思う。去年の5日でも大変だっただろう」
二人とも、孫が嫌いなわけではありません。むしろ会えばうれしく、帰る日は寂しく感じます。ただ、「かわいい」と「10日間生活を預かれる」は別の話でした。
数日後、恵子さんは美香さんへ電話しました。
「悪いけど、10日間は無理だよ」
美香さんは驚きました。
「去年も預かってくれたから、大丈夫だと思ってた」
「去年は5日間だったでしょう。それでも帰ったあと、何日か動けなかったの」
恵子さんは、食事の準備や送迎、外出まで夫婦だけで引き受けることが負担になっていたと初めて伝えました。
「孫はかわいいよ。でも、10日間ずっと面倒を見る体力はもうないの」
美香さんはしばらく黙ったあと、「そこまで大変だったとは思っていなかった」と答えました。前年まで、両親から「疲れた」と言われたことがなかったため、喜んで預かってくれていると考えていたのです。
話し合いの結果、今年は3泊4日だけ祖父母宅で過ごすことになりました。
残りの日程は放課後児童クラブを利用し、美香さん夫婦も交代で休暇を取ります。祖父母宅で過ごす間の食費として、美香さんから1万円を預かることにしました。
こども家庭庁によると、放課後児童クラブは、保護者が仕事などで昼間家庭にいない小学生に対し、放課後だけでなく夏休みなどの長期休業期間にも生活の場を提供する事業です。2025年には全国で2万5,928ヵ所が設置されています。
夏休みに孫が来ると、恵子さん夫婦は一緒に料理をしたり、近所のプールへ出かけたりしました。3泊4日なら「明日は何をしよう」と考える余裕もありました。
「短くしたら、前より孫と過ごす時間を楽しめた気がします」
祖父母が孫を預かることは、子育て世帯にとって大きな助けになります。一方で、年齢や体調によって、引き受けられる日数や内容は変わります。
以前できたから今年もできるとは限りません。長期休暇の預け先を考える際には、祖父母だけに頼るのではなく、日数や送迎、食費などを事前に確認し、それぞれが無理なく続けられる形を整えることが必要です。
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