28年ぶりの異例の日米協調介入実施も再度円安が進展
28年ぶりとなった日米協調での円買い介入から約2週間が経ちましたが、執筆時点(2026年8月12日)でドル円は159円台半ばと、一連の介入による円高の半分程度が剥落しました。
日米協調介入前後には、ベッセント米財務長官が一段の介入を示唆する発言を行うなど日米両当局者から円安警戒を強めている旨の情報発信がありましたが、そうした発言を横目に淡々と円が売られたことになります。
7月末にかけての実弾介入後から執筆時点まで、米ドル指数はほぼ横ばいの推移でした。その一方で円は対ドルで介入直後の1ドル=155円程度から159円台半ばへ3%弱減価しており、他の通貨と比べても円の弱含みが顕著でした(図表1)。
市場は米国の協調姿勢を消極的と評価した可能性。日本の財政懸念も引き続き円安圧力に
円売りの背景として日米金利差が挙げられますが、他国においても米国との金利差はあり、円が突出して弱い理由とするには説得力に欠けます。
筆者は、介入後の円安進展は金利差やその他の構造的な要因だけでは説明しきれず、市場参加者は他の要素を重視して円売りを進めている可能性があると考えています。
28年ぶりの日米協調円買い介入という歴史的な介入であったにもかかわらず、米国による介入規模は小さかった可能性やドル売りを避けてユーロ売り円買いを行ったと伝わった点などから、市場は米当局がドル売りに消極的であると受け止め、追加の協調介入規模が限定的なものになるとの見方を固めた可能性があります。また、介入前後に日本の食品向け消費税減税を始め財政拡張に関する懸念が広がったことや、足元で高市政権の内閣改造など政権人事に関する思惑が出始めていることも、円の先安観を強めた要素として指摘できます。
何があれば円安は止まるのか?
7月末に開催された日銀の金融政策決定会合では、利上げペースを従来の半年に一度から加速させる可能性が示唆されました。これを受け、市場でも日銀の利上げ織り込みが進みました。しかし、この織り込みが実現したとしても、当面日米の金利差は開いた状態が続くと見込まれ、金融政策の変化は円安を止めるには力不足である可能性があります。
高市政権の積極的な財政政策スタンスが極端に変化することは見込みにくいことを踏まえると、短期的に円安が止まるには、一段の為替介入の実施か、米国景気の急減速をはじめとした環境変化など、条件が限られてきているのが実情です。
追加的な為替介入時に留意しておきたい点
筆者は、現状では追加的な為替介入以外に円安を止める手段は限られているため、日米両当局に円安抑制の意向があるのであれば、追加的な介入が行われる蓋然性は高いと考えています。
今後の介入時に注意しておきたい点としては、ボラティリティ上昇です。過去、ドル円のボラティリティ上昇時には日経平均のボラティリティも上昇する傾向にありました。
7月末の為替介入を受けてドル円のボラティリティは高止まりしており、一段のボラティリティ上昇が発生する場合は、各種資産のポジション調整を誘発し、各種資産が連鎖的に下落する恐れがあります。
須賀田 進成
アセットマネジメントOne株式会社
債券運用部 ファンドマネジャー



