暗転する日常。がらんとした部屋で襲ってきた孤独と恐怖
無駄のない暮らしを続けていたものの、貯金は毎月少しずつ目減りしていました。そんな時、彼女の平穏な日常を一変させる出来事が重なります。
実家で一人暮らしをしていた母(78歳)が脳梗塞で倒れました。命に別状はなかったものの、左半身に麻痺が残りました。介護保険の手続きやリハビリ病院への往復、バリアフリー用品の買い揃えなど、雑務と予期せぬ出費が続きました。
さらに、追い打ちをかけるように自身の体にも異変が。突然の腹痛に襲われ、救急車で運ばれたのです。診断は急性胆嚢炎。そのまま緊急手術と1週間の入院を余儀なくされました。
医療費や雑費で手元の現金が削られていく恐怖。しかし、それ以上に早苗さんを打ちのめしたのは、“誰も頼れる人がいない”という痛切な孤独でした。入院を知っているのは、療養中の母だけ。
退院の日、早苗さんは一人でタクシーに乗り、誰もいないアパートへ戻りました。部屋にはストックの食料も飲み物もありません。見渡す限り、ぬくもりを感じさせる家具も観葉植物も何一つない、冷ややかな空間――。
余計なものがなく、あれほど快適だったはずの部屋。そこで彼女は、息が詰まるほどの寂しさと恐怖に襲われたのです。
