世界的に見れば、銀行業界の「再編」は必須
消極的な銀行家は、この先の10年でスリランカが中流階級国家へと発展するにつれ、金融業界は完全に変貌するであろうことを理解するべきだ。ヴィジョンが明確でないかぎり、これまでに培った経験ではこの変化の速度に太刀打ちできないだろう。22のスリランカ銀行と12の外資系銀行という非効率的な銀行ネットワークを抱える余地がスリランカにあるとは考えがたい。
国営の金融インフラはメガバンクから恩恵を受けるものだ。なぜなら、メガバンクの事業の方が経済価値と利益を生み、安全だからだ。その一方で、銀行が乱立している状態は借り手にリスクを押し付ける。非効率的な銀行ネットワークは経済価値を破壊し、衝撃への耐性がより低い金融システムを残すまでだ。
上流および中流階級国家へと発展したアジア国家では、いずれも大規模な銀行再編と向き合っている。一人当たりの収入が9000ドルであるマレーシアでは、54の銀行機関が10グループへと再編された。スリランカの一人当たりのGDPは4000ドルだとの見通しだが、5年のうちに7000ドルを超えると言われている。一人当たりのGDPがまもなく5500ドルに到達すると言われているタイでは、14の銀行が5つに減る予定だ。
スリランカで銀行は次世代のリーダーになれるか?
投資銀行は、金融の仲介役という立場を独占している商業銀行を、これからも侵し続けるに違いない。今は借り手として重要視される大企業も、いずれかは資本市場を通じて、必要な資金のほぼすべてを集めていくことになるだろう。そしてスキーム設計や取引の調整を担う投資銀行は高い手数料を稼ぐ一方で、旧来の商業銀行は窮地に立たされることになる。
独占的な地位から排除されていく中で、商業銀行はよりリスクを取りつつ、高い手数料を得るために、既存顧客とは違う層を相手に事業を展開するしかない。今後10年間は金融業界にとって激動期となり、この過渡期を先頭切って進める者こそが、金融業界の未来を切り開くリーダーになるに違いない。