写真:GTACスタッフ

一見、買収熱にあてられているように見えるスリランカの銀行ですが、やはり合併は山積みの課題を克服する可能性を多分に含んでいます。今回は、その課題解決のポイントとなる普通・当座(CASA)預金についてご説明します。

普通預金の割合が低いNDB銀行とセイラン銀行

NDB銀行とセイラン銀行の合併はシナジーを生み、これまでに挙げた課題を対処できる可能性がある。なぜなら大型支店とATMネットワークの獲得は、当座・普通(CASA)預金口座を増やすことに直結するからだ。銀行にとってCASA預金口座は、定期預金を維持することよりも負担が軽い。

 

NDB銀行のCASA預金の割合は25%であり、大半の大型商業銀行よりも遥かに低い。NDB銀行とセイラン銀行の合併は、双方にとって支店数とATM数の増加、すなわち、自らのネットワークの拡大を意味するが、その変化が預金口座の状況の改善につながり、高い手数料収入を維持するのに一役買ってくれるかもしれないのだ。

 

セイラン銀行は、預金の39%がCASA預金であるが、サンパス銀行は46%、ハットンナショナル銀行は45%、そしてスリランカ商業銀行は48%とCASAの割合が高い。45%を超えるCASA預金の割合を維持する銀行は、全て220以上の支店を構えている。

狙いはスリランカ一般家庭の「タンス預金」

スリランカの経済は主に現金ベースで成立しているが、家庭や個人事業主はその現金をタンス預金している。これからの10年は、その現金を銀行へと引き込むチャンスとなるだろう。特にセイラン銀行は、中小企業や個人を対象にする銀行として立場を確立しており、クレジットカード市場でも頭角を表している。

 

証券会社であるAsia Securities社は直近に発行した銀行業界に関する報告書で、買収対象として見た際のセイラン銀行の魅力を明記した。その理由として、高いCASA預金率、そしてDFCC銀行及びNDB銀行と比べ中小企業や個人に強い点が挙げられている。更に、Asia Securities社は、セイラン銀行がこれからの数年で不良債権率を現在の7%から業界平均である3%に下げる計画を立てていることも強調した。


次回は、銀行再編の先に見えるスリランカ金融業界の未来についてお伝えします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年5月に掲載した記事「NDB’s Rajendra Theagarajah is Aiming to Shake Up Banking」を、翻訳・編集したものです。

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