(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもの進学や就職を支えるため、親が自分の生活費を抑えて援助することがあります。そのときは見返りなど考えていなくても、親自身が高齢になれば、今度は子どもの助けが必要になる場面もあるでしょう。親子であっても、お金や支援をどこまで頼るのかは簡単に答えを出せる問題ではありません。

「今度は僕の番だから」息子から届いた申し出

その週末、直樹さんは妻と相談したうえで、和子さんの家を訪れました。買い物を済ませ、冷凍できる食事を用意した後、母にこう話しました。

 

「これから毎月5万円、僕から振り込むよ」

 

和子さんは驚きました。

 

「いらないよ。私は年金もあるし、貯金だって少しはあるから」

 

しかし直樹さんは、母の通帳を見たわけでもありません。けがをしたことで、将来、家事代行やタクシー、通院などにお金が必要になるだろうと考えたといいます。

 

「昔、僕が足りないって言うたびに出してくれたでしょう。今度は僕の番だから」

 

和子さんは、その言葉を聞いて涙が止まらなかったと振り返ります。

 

「返してもらおうと思って出したお金ではありません。子どもが困っていたから助けただけです。だから、『今度は僕の番』と言われるとは思っていませんでした」

 

ただし、和子さんは毎月5万円の援助をそのまま受け取ることにはしませんでした。

 

親子で話し合い、直樹さんが毎月送金するのではなく、必要な支出が生じたときに相談する形に変更しました。買い物が難しい時期はネットスーパーを利用し、通院にはタクシーも使います。その費用の一部を直樹さんが負担することにしました。

 

直樹さんも「お金を渡せば解決する話ではない」と考え、週に一度は電話をし、月に一度は家族で母を訪ねるようになりました。

 

内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、65歳以上人口に占める一人暮らしの割合は、2025年の推計で男性18.3%、女性25.4%。高齢の親が一人で暮らす家庭では、金銭面だけでなく、買い物や通院、緊急時の連絡方法まで含めて家族で確認しておくことが重要です。

 

親が子どもを支えてきたからといって、将来必ず支援を受けられるとは限りません。また、過去の援助を理由に子どもへ負担を求めることが当然ともいえないでしょう。

 

一方で、親が高齢になってからも「子どもに迷惑をかけたくない」と困り事を隠してしまえば、必要な支援が遅れることもあります。お金を出すかどうかだけではなく、親子それぞれが無理なくできることを話し合っておくことが、高齢期の安心につながります。

 

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