「母さん、裏切ってすまない…」亡き妻の写真に手を合わせる71歳父の落胆。〈年金16万円〉〈資産1,700万円〉真面目な父が、孤独の中で失った「40万円と自尊心」

「母さん、裏切ってすまない…」亡き妻の写真に手を合わせる71歳父の落胆。〈年金16万円〉〈資産1,700万円〉真面目な父が、孤独の中で失った「40万円と自尊心」
(※写真はイメージです/PIXTA)

「なぜこんな騙され方を」……ニュースの詐欺事件などを見て、そう思う人は少なくないでしょう。しかし、真面目な人が抱える孤独や「困っている人を助けたい」という善意を狙ってお金を盗み取る手口は、減るどころか増え続けています。今回は、妻を亡くした失意の中で「まさかの事態」に陥った71歳男性の事例を見ていきましょう。

「夫から逃げているんです」…警察に頼れない理由

きっかけは数ヵ月前。駅前のベンチで座っているときに、30代後半に見える女性から話しかけられたことでした。

 

「すみません、スマホの充電が切れてしまって。この近くに安いホテルはありませんか?  実は、夫のDVから逃げてきたんです……」

 

見知らぬ女性からの突然の相談。当然、警察に行くよう伝えましたが、女性は「警察だと夫に連絡がいってしまう」と必死でした。

 

「すごく困っている様子で、夫からされたことを話すんだ。聞いているうちに同情してしまって。とりあえず、その日と翌日ぐらいはどこかに泊まれるだろうと、1万円を渡してしまった」

 

「本当に助かりました。必ず返します」とお礼を言う女性と、連絡先を交換。しかし、それから「今日も安いネカフェを探しています」などと、数日おきに連絡が入るようになりました。

 

「私も時間があるから、つい会いに行って話を聞いてしまって。それで宿泊代や食費として、お金を渡すようになってしまったんだ。どうしても嘘だとは思えなくて、人助けのつもりだった」

 

そして、しばらくすると、女性からこんなお願いをしてきたのです。

 

「アパートの初期費用として30万円あれば一人立ちして働ける。毎月分割になるけれど、これまで借りたお金と合わせて必ず返します。清志さんしか頼れなくて、すみません」

 

清志さんは迷いました。それでも、「これで彼女が救われるなら。見捨てるのは、人としてあまりに薄情だ」と自分に言い聞かせ、30万円を手渡ししてしまったのです。

 

ところが、お金を渡した翌日からLINEは既読にならなくなりました。電話も通じず、彼女と立ち寄った喫茶店などを探しても、その姿を見ることはありません。

 

渡した総額は40万円ほど。年金は月16万円、通帳の残高も1,700万円ほどあり、生活に大きな影響がある金額ではありません。しかし、清志さんが受けた精神的ダメージは甚大でした。

 

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