政府の対応策と中長期的な経済展望
政府は2026年の財政赤字をGDP比5.4%(2025年は5.6%)に抑え、2030年までに3.5%まで段階的に縮小させる目標を掲げています。
しかし、2025年の借入計画は2兆6800億ペソ(約436億ドル)に上り、恒常的な財政赤字を補うために借り入れへ依存する構造が続いています。こうした中で、マルコス大統領の税制優遇パッケージは家計の負担軽減と消費喚起を狙ったものですが、確実な財源確保が伴わなければ中長期的な債務管理に影を落とす可能性があります。
一方、フレデリック・ゴー大統領特別顧問(経済・投資担当)は、税制優遇策を歳入増強策とパッケージ化する方針を示唆しています。
下院歳入歳出委員会も、税制優遇による約500億ペソの歳入減を埋めるため、増税や砂糖入り飲料への課税などの検討を進めています。このように、負担軽減策と歳入対策を同時に進めることで、財政への悪影響を最小限に抑えようとする動きが見られます。
マルコス大統領の施政方針は、国民生活の安定を最優先に据えた現実的なアプローチと言えます。中東情勢に伴う原油高などで、経済成長がパンデミック後最弱の水準に落ち込む中、持続可能な消費を支えることは経済全体の回復に必要な措置といえます。
一方で、格付機関の懸念も無視できません。フィリピン経済の強みである若年人口と堅調な海外送金、消費主導型成長を維持するためには、減税による穴埋めを確実に実行し、財政規律を保つことが不可欠です。
今回の演説で示された負担軽減策は短期的な国民支援として評価できますが、その効果を長期的に持続させるには、歳入基盤の強化と効率的な歳出運営が鍵となります。
政府が格付機関や市場の信頼を維持しながら、バランスの取れた政策を実行していくことが期待されます。フィリピンが持続可能な成長軌道に戻るためにも、財政健全化と国民負担軽減の両立がこれからの重要な課題となるでしょう。
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