マルコス大統領が踏み切る「大減税」の罠…フィリピン経済に潜む「財政赤字拡大リスク」の深刻度

8月3日週「最新・フィリピン」ニュース

マルコス大統領が踏み切る「大減税」の罠…フィリピン経済に潜む「財政赤字拡大リスク」の深刻度
写真:PIXTA

フィリピンのマルコス大統領が7月の施政方針演説(SONA)で打ち出した、非課税枠の引き上げをはじめとする「大減税パッケージ」。インフレに苦しむ国民の購買力を支える現実的なアプローチとして期待を集める一方、格付機関からは財政健全化を揺るがす重大なリスクとして強い警鐘が鳴らされています。消費主導の経済成長を維持しつつ、パンデミック以降に膨らんだ公的債務と高金利環境の圧力をどう回避するのか。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクター・家村均氏が、減税の裏に潜むフィリピン財政の窮状と、持続可能な成長に向けた試練を読み解きます。

政府の対応策と中長期的な経済展望

政府は2026年の財政赤字をGDP比5.4%(2025年は5.6%)に抑え、2030年までに3.5%まで段階的に縮小させる目標を掲げています。

 

しかし、2025年の借入計画は2兆6800億ペソ(約436億ドル)に上り、恒常的な財政赤字を補うために借り入れへ依存する構造が続いています。こうした中で、マルコス大統領の税制優遇パッケージは家計の負担軽減と消費喚起を狙ったものですが、確実な財源確保が伴わなければ中長期的な債務管理に影を落とす可能性があります。

 

一方、フレデリック・ゴー大統領特別顧問(経済・投資担当)は、税制優遇策を歳入増強策とパッケージ化する方針を示唆しています。

 

下院歳入歳出委員会も、税制優遇による約500億ペソの歳入減を埋めるため、増税や砂糖入り飲料への課税などの検討を進めています。このように、負担軽減策と歳入対策を同時に進めることで、財政への悪影響を最小限に抑えようとする動きが見られます。

 

マルコス大統領の施政方針は、国民生活の安定を最優先に据えた現実的なアプローチと言えます。中東情勢に伴う原油高などで、経済成長がパンデミック後最弱の水準に落ち込む中、持続可能な消費を支えることは経済全体の回復に必要な措置といえます。

 

一方で、格付機関の懸念も無視できません。フィリピン経済の強みである若年人口と堅調な海外送金、消費主導型成長を維持するためには、減税による穴埋めを確実に実行し、財政規律を保つことが不可欠です。

 

今回の演説で示された負担軽減策は短期的な国民支援として評価できますが、その効果を長期的に持続させるには、歳入基盤の強化と効率的な歳出運営が鍵となります。

 

政府が格付機関や市場の信頼を維持しながら、バランスの取れた政策を実行していくことが期待されます。フィリピンが持続可能な成長軌道に戻るためにも、財政健全化と国民負担軽減の両立がこれからの重要な課題となるでしょう。

 

【関連記事】

■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

 

 

 

【注目のセミナー情報】​​​

【事業投資】8月13日(木)オンライン開催
未経験・1人運営でも目指せる
『買取大吉』の高収益モデルの全貌

 

【事業投資】8月19日(水)オンライン開催
「信頼と安心」のブランド力を活かした
『ECCの個別指導塾ベストワン』という選択

 

※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録