年金増額の裏に隠された「繰下げ」のデメリット
年金の繰下げをすると、1カ月で0.7%、1年間で8.4%も年金額が増えるため、老後のお金を増やすためにぜひ利用したい制度ですが、人によってはデメリットが生じるケースもあるため注意が必要です。
受け取れなくなる年金に注意
まず1つ目は、「加給年金」を受け取れる人が、繰下げをしていると加給年金は受け取れません。そのため、繰下げ期間中に配偶者が65歳に達すると、加給年金は全額受け取り損ねることになります。加給年金は厚生年金の制度なので、このケースに当てはまる場合は、老齢基礎年金だけを繰下げし、老齢厚生年金を65歳から受給開始すれば回避できます。
2つ目は、「在職老齢年金」制度です。給与と年金の合計額が一定基準を超えると老齢厚生年金の一部または全額が停止されますが、この停止された部分は、繰下げをしても増額対象になりません。つまり、働きながらの繰下げは、将来の年金額が想定より少なくなるリスクがあります。なお、老齢基礎年金についてはこの制度の対象外のため、増額への影響はありません。
3つ目は、「特別支給の老齢厚生年金*」。これは65歳までの有期年金となるため、繰下げの対象外です。65歳以降の年金を繰下げる場合でも、案内が届いた時点で手続きしましょう。
*老齢厚生年金の受給開始年齢引き上げに伴い、60~64歳までの間に特別支給される老齢厚生年金。男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前生まれの場合、支給対象
仕組みを理解して自身の最適解を見つける
厚生労働省のデータ(2024年度)によると実際に繰下げ制度を利用している人は、老齢基礎年金で2.6%、老齢厚生年金では、1.9%。年々利用率はアップしているものの、全体で見ればほとんどの人が繰下げを利用していません。
ですが、「人生100年時代」の長生きリスクに備える上で、年金を増やせる繰下げ制度は有効な選択肢の1つと言えます。会社員であれば2つの年金のどちらか片方を繰下げたり、夫婦世帯ならどちらかの年金を繰下げたりするなど、選択肢は様々です。
こうしたデメリットや仕組みを理解した上で、自分に合った受給タイミングを検討してみましょう。
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