コンロ交換より、フライパンを新しくすることを提案
中古物件で起こる、様々な設備トラブルを紹介する。
●コンロへのイチャモン
軽めのクレームとしては、電気コンロとフライパンの相性が合わずに、電気コンロを替えてほしいというものだ。ガスならば、この手のクレームは出ないが、古い電気コンロだと安いフライパンは反応しないことが多いらしい(ある一定の厚みがないと金属として検知しない? )。
まずは現地に行って、自分で状況を確認しつつ、入居者さんのクレームを真摯に受け止める。入居者さんが、「本当はガスが良かった」と言えば私も同調して「私も購入時は本当はガスが良かった」と同調。そして、コンロが故障しているのでは? という疑問に関しては、「他の空室で、今回のクレーム入居者が購入したフライパンを試してみる」。結果、やはりフライパンは温まらない。ということは、「入居者のフライパン」と「設置している電気コンロ」の相性が悪かった。という結論だ。原因は分かっても入居者がそのフライパンで料理ができないという現実は変わらない。そこで、「コンロを替えるよりは、対応するフライパンを支給した方が安い」と考え、それを入居者に提案したところ、入居者さんが自分で何とかするという結論に至った。
現地に行って、一緒に解決策を見つけてあげれば、全て大家負担ではなく、自分で何とかしてくれる入居者もいる。電話・メールなどではなく、直接現地に行って真摯に入居者と向き合っていることが大事だ。
対応に時間がかかるとクレームは増幅する
ヘビーな入居者のクレームは、入居直後に古いコンロのイチャモン問題もあった。自分で入居前にコンロを確認して入居を決めたにもかかわらず、後出しジャンケンでのクレームだ。
内容は、主に「グリルが汚れていて使えない」「火力が安定しておらず、火事になる危険性がある」の2点だ。だから、交換しろ! というクレームだ。「交換するかどうかは、お前が決める話じゃない。俺が決める話だ! 」と内心思いながらも、一応、何かの時にすぐに交換できるようにするため、見積もりだけは依頼をした。ざっくり20万円だ。
あとは現場に出向いて、何が起きているか事実確認。最初、グリルの汚れと聞いて、私のイメージは、料理と直接接触する部分が汚れて使えないのだと思っていたら、換気部分の汚れだった。最初は平謝りだったが、こんなのだったら磨けば使える。ちなみに、頑固な汚れを落とすのに、100円ショップ・キャンドゥーの「ダイヤモンドパフ」はおススメだ。一度目の現地確認後、二度目の訪問時にダイヤモンドパフを使って、私の労働力を1時間ほど投入して、綺麗になった。
そして2点目の火力が安定していないというクレーム。確かに火の勢いが強く、バランスもあまり良くなかったが、この程度で交換する必要はない。ちょっとしたメンテナンスで十分だ。安全面でのクレームのため、私がいくら安全です! と言っても、納得しないはずなので、第三者の東京ガスに対応をお願いした。ちょっとしたメンテナンスだけで、東京ガスからもお墨付きをもらった。
入居者の言いなりになってコンロを交換していたら20万円掛かっていたが、このように現地を確認して適切な対応を取れば、①ダイヤモンドパフ200円+私の労働力1時間、②東京ガスの出張料金2000円程度で、対応可能だ。かなり感情的になる入居者もいるが、平謝りと直接現地で解決策を提示すれば、大体なんとかなる。
いつ何をしてくれるのか分からないと、クレームは増幅するため、クレーム時は、早めに現地に向かうことを意識すると大きなトラブルにはなりにくい。
ちなみに、クレームの傾向としては、「年齢が高い人」「比較的高収入の人(自営業に近い)」の方が、たちが悪いクレームが多い。ある程度、弁がたち、しかも家賃が比較的高めの部屋(大き目の間取り)に入居しているため、私としてもクレーム対応に失敗して、出て行かれると大きな痛手だ。このような入居者相手に、相手の意見を受け入れつつも、おカネが出ていかない解決策へと誘導できれば、大家としてレベルが上がったと実感できる。