教育費を削るのではなく…
相談員から指摘されたのは、教育費を優先すること自体ではありませんでした。
「教育費が終わってから老後資金を始めるのではなく、少額でも並行して積み立てる仕組みが必要です」
総務省『家計調査報告 2025年(令和7年)平均』では、二人以上の勤労者世帯の実収入は月65万3,901円ですが、税金や社会保険料を差し引いた可処分所得は53万2,408円です。額面収入のすべてを生活や貯蓄に回せるわけではありません。
夫婦が保険を確認すると、保障が重複している契約がありました。必要な保障を残して整理すると、保険料は月2万円ほど減りました。通信プランと使っていない定額サービスも見直し、車は次回の車検を機にカーシェアへ切り替えることにしました。
毎月確保できた約4万円のうち、2万円は教育費の予備費、残り2万円は老後資金として積み立てます。ボーナスも全額を学費に回さず、一定額を老後用口座へ移すことにしました。
金融庁は、安定的な資産形成の基本として「長期・積立・分散」を示しています。ただし投資には元本割れの可能性があるため、近く使う教育資金と長期で備える老後資金を分け、無理のない範囲で行う必要があります。
直樹さん夫婦は、子どもとも進学費用について話しました。希望を否定するのではなく、自宅外通学になった場合の費用や奨学金の返済も含めて考えることにしたのです。
教育費は、単純に削ればよい支出ではありません。しかし、「余ったら老後に回す」という考えでは、老後資金はいつまでも残りにくいものです。複数の目標を両立するには、使い道を先に分け、少額でも同時に備えることが大切なのかもしれません。
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