今回は、ラオスの縫製業界の現況を説明します。※本連載は、公認会計士・税理士で、久野康成公認会計士事務所所長、株式会社東京コンサルティングファーム代表取締役会長の久野康成氏が監修した『新興国ビジネス業界地図』(TCG出版)から一部を抜粋し、激変する新興国市場のうち、特に注目したい4カ国の現状と今後の動向予測を見ていきます。
各国とも新しい縫製工場の開設に積極的だが、問題も…
日本企業を含む外資系企業がラオスに進出するようになり、ラオスに拠点を置くケースが最近増加している。そのため、各国の投資家たちはラオスの縫製業界に非常に興味を示しており、新しい工場の開設に積極的である。
各国からの投資によりラオスの縫製産業は急成長をしているため、毎年1万以上の人員が必要であるといわれている。しかし、輸出の面で縫製業は2位を守っているが、実際ラオス国内では雇用数が足りていない状況であり、特に若者の働き手が不足している。
高いインセンティブを求める労働者が年々増加
低賃金や資源を求めてラオスに進出する外資系企業と、高賃金を求め隣国タイなどに出稼ぎに出るラオス人が増加して、国内産業・需要の空洞化が懸念される。
縫製産業を中心とした職が多くあるにもかかわらず、高いインセンティブを求める労働者が年々増加し、労働者と雇用者の摩擦が生じている。各企業は雇用数を増やすために人材育成なども行っているが厳しい状況である。また、賃金がインフレに追いついていないのが問題であるとの声もある。
久野康成公認会計士事務所 所長
株式会社東京コンサルティングファーム 代表取締役会長
東京税理士法人 統括代表社員
公認会計士・税理士・社団法人日本証券アナリスト協会検定会員
1965年生まれ。愛知県出身。1989年滋賀大学経済学部卒業。1990年青山監査法人(プライスウオーターハウス)入所。監査部門、中堅企業経営支援部門にて、主に株式公開コンサルティング業務に係わる。
クライアントの真のニーズは、「成長をサポートすること」であるという思いから監査法人での業務の限界を感じ、1998年久野康成公認会計士事務所を設立。
営業コンサルティング、IPOコンサルティングを主に行う。
現在、東京、横浜、名古屋、大阪、インド、中国、香港、モンゴル、タイ、インドネシア、ベトナムほか世界27カ国にて、「第2の会計事務所」として経営コンサルティング、海外子会社支援、内部監査支援、連結決算早期化支援、M&Aコンサルティング、研修コンサルティング、経理スタッフ派遣・紹介等幅広い業務を展開。国際会計事務所グループGGI(世界第6位)の日本におけるグローバルアライアンスメンバーファームに加盟。
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連載新興国ビジネス業界地図――ラオス・ケニア・エジプト・ペルー編