貯金は残った。でも、戻らない時間もあった
正弘さんが後悔を強く感じたのは、古い写真を整理していたときでした。子どもたちが小さかった頃、家族で旅行した写真は思ったよりも少なく、夫婦二人で出かけた写真もほとんどありませんでした。
仕事が忙しかったこと、教育費が不安だったこと、老後資金を貯めなければと考えていたこと。どれも当時は正しい判断に思えました。
しかし65歳になって振り返ると、「お金は残ったけれど、使えた時間は戻らない」と感じるようになったのです。
正弘さん夫婦はその後、家計の考え方を少し変えました。貯金を一つの塊として見るのではなく、生活費、医療・介護費、住宅修繕費、楽しむためのお金に分けて考えるようにしたのです。大きな海外旅行は難しくても、体に無理のない温泉旅行や、近場のホテルに泊まる小さな楽しみは残されています。
お金は生活を守るために必要です。同時に、元気な時間を豊かにするためにも使うものです。老後資金と向き合うときは、「いくら残すか」だけでなく、「いつ、何のために使うか」を考えることが大切なのかもしれません。
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