シニア世代にとって、孫の誕生は大きな喜びの一つです。しかし、成長に伴い増える「孫疲れ」や「孫破産」といった現実的な悩みに、人知れず胸を痛めるシニアは少なくありません。「来なければ楽なのに」――。日々募る負担から、つい口にしてしまった独り言。それが、思いもよらない最悪の形で叶ってしまったとしたら? ある女性の事例から、シニア世代と家族の距離感の難しさを考えていきます。

「可愛いけれど、来なければいいのに」最悪の形で叶った願い

都内で同い年の夫と暮らす伊東昌子さん(仮名・73歳)。夫婦の年金収入は合わせて月22万円ほどで、慎ましくも穏やかな老後を送っていました。

 

5年前、一人息子に子どもが生まれ、昌子さんは「おばあちゃん」になりました。最初は目に入れても痛くないほど可愛く、一駅隣に住む息子一家が「週末、遊びに行っていい?」と連絡してくるのを心待ちにしていたといいます。

 

しかし、2人目の孫が生まれ、成長するにつれて昌子さんの心境に変化が訪れます。

 

「毎週末のように来られると、金曜日からメニュー作りや買い出しに追われ、土日は朝から晩まで動きっぱなし。帰ったあとは、夫婦で疲れ切っていたんです」

 

誕生日やイベントごとの出費、おやつ代や外食費も重なり、年金暮らしには大きな負担に。いつしか、金曜日に息子からくる“予告LINE”を見るのも億劫になりました。

 

「来なければ、ゆっくり自分の時間が持てるのに。孫はすごく可愛いけれど、正直疲れるわ……」

 

夫にそう愚痴をこぼしていた昌子さんは、体調不良や先約を理由に、少しずつ息子一家の来訪を断るようになりました。

 

「ちょっと体調が悪くてね」
「お友達が遠方から来るから」

 

目論見通り、週末に自分たちの時間が戻り、ホッとしたのも束の間。事態は予想しなかった方向へと急転しました。

 

本当に孫に会えなくなったのです。

 

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