「宇宙の鎖国」が始まっている…ヨーロッパや中国がこぞって自前のロケットと衛星を急ぐ、「SpaceX独占」に対する国家の焦燥感

「宇宙の鎖国」が始まっている…ヨーロッパや中国がこぞって自前のロケットと衛星を急ぐ、「SpaceX独占」に対する国家の焦燥感
(※写真はイメージです/PIXTA)

これまで、国際通信はそのほとんどを「海底ケーブル」に依存していた。しかし海底ケーブルは迂回路が限られ、地形や地政学の観点から攻撃を受けると大きな影響が出てしまう。そこで新たな選択肢として注目されているのが、イーロン・マスク率いるSpaceXが提供する「Starlink」を中心とした、宇宙空間を経由する「衛星通信」だ。ただし、その仕組みを深掘りすると、衛星通信には「構造的な弱さ」が存在することがわかる。本稿では、白畑真氏の著書『デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か』(日経BP)をもとに、衛星通信の強さと弱みを紐解く。

衛星通信はあくまで海底ケーブルの“セーフティネット”

衛星コンステレーションは海底ケーブルのセーフティネットだ。帯域コスト、遅延の安定性、大口法人向けSLAのいずれにおいても、海底ケーブル経由の地上回線が通信の主幹であることは変わらない。

 

衛星通信の戦略的価値は、予備回線と到達困難地域の補完にある。TeleGeographyが2025年開催の海底光ケーブル技術国際会議SubOpticで示した試算によれば、海底ケーブル1本の建設費約5.2億ドルで480Tbpsの帯域が得られるのに対し、Starlinkコンステレーション全体の投資額150億ドルで得られる長距離バックボーン代替としての推定実効帯域は約5Tbps2。

 

ビットあたりコストの差は2768倍に達する。衛星が海底ケーブルを代替する日は、技術的にも経済的にも遠い。

 

 

白畑 真

さくらインターネット株式会社

 

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※本連載は、白畑 真氏の著書『デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か

デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か

白畑 真

日経BP

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