見えてきた現実…「資産価値」よりも大きかった毎月の負担
入居から5年が経った頃、夫婦は改めて家計を見直しました。
そこで初めて気付いたのは、住宅に関する支出総額の大きさでした。住宅ローンだけではありません。管理費、修繕積立金、駐車場代、固定資産税を合計すると、年間ではかなりの金額になります。
もちろん、その対価として快適な住環境を得ています。それでも夫婦の気持ちは少しずつ変わっていました。
子どもが成長したことで、以前ほど共用施設を利用しなくなったのです。ラウンジもほとんど使わない。ゲストルームを予約する機会も少ない。最初は魅力だった設備が、今では「維持費のかかる設備」に見えることもありました。
ある休日、将来の教育費について話し合っていたときです。
「大学進学を考えると、まだまだお金がかかるね」
そう話した美咲さんに対し、健一さんは思わず本音を漏らしました。
「タワマンなんて買わなければよかったかもしれない」
決して今すぐ家計が破綻するわけではありません。住宅ローンの返済も続けられます。
しかし、その言葉には「もっと身の丈に合った選択があったのではないか」という後悔が込められていました。
住宅金融支援機構『住宅ローン利用者の実態調査』によると、住宅購入後に家計の負担感を抱く世帯は約3割にのぼります。特に共働きを前提とした返済計画の場合、転職や病気、教育費増加などの変化によって余裕が失われることがあります。
その後、夫婦は住み替えも検討しました。しかし購入時より価格は上がっているものの、仲介手数料や諸費用、次の住居費まで考えると簡単には決断できません。
結局、今は住み続けながら支出を見直す選択をしています。
「住んでみて分かったのは、買うときのワクワクと、住み続ける現実は別だということでした」
タワーマンションは魅力的な住まいです。資産価値が維持される可能性もありますし、利便性や快適性も高いでしょう。しかし住宅は購入して終わりではありません。管理費や修繕積立金、教育費、将来のライフプランまで含めて考えなければ、本当の負担は見えてきません。
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