元夫ですか?死んでるんじゃないかしら…都営住宅に暮らす70歳女性、「年金12万6000円」で徹底する倹約生活。息子からの小遣いも孫のお年玉にあて、コツコツ貯めた「驚きの貯蓄額」

元夫ですか?死んでるんじゃないかしら…都営住宅に暮らす70歳女性、「年金12万6000円」で徹底する倹約生活。息子からの小遣いも孫のお年玉にあて、コツコツ貯めた「驚きの貯蓄額」
(※写真はイメージです/PIXTA)

「年金生活・都営住宅在住」と聞くと、少ない収入のなかで苦しい生活を強いられていると想像する人も多いだろう。だが、先を見据えた選択と徹底した倹約によって、しっかりと貯蓄を築いている人もいる。29歳で結婚後にシングルマザーとなり、70歳まで働き続けた野坂さん(仮名)は、多額の貯蓄がある今もなお、倹約生活を続けているという――。ルポライター・増田明利氏の著書『今日、年金暮らしになった』(彩図社)より、年金生活者の“生活のリアル”を追う。

65歳以降もパートでコツコツ蓄えを増やし、貯蓄は〈4桁万円〉に

年金は65歳から受給しているが身体は元気そのもの。より年齢が高くなったときに生活費の補填や医療費が工面できるよう蓄えを増やそうと思い、短時間のパート仕事を見つけ働き続けてきた。

 

野坂さんがやっていた仕事はビジネスホテルの客室整備員。客室内の清掃、ベッドメイク、アメニティグッズの補充などを担当していた。

 

「午前3時間、夕方から3時間の短時間パートだったけど、月24日ぐらい出勤していたので8万5000円ぐらいの収入になったんです。年金と合わせると21万円あったけど、生活費として使うのは15万円までと決め、ひたすら貯金に励みました」

 

スーパーを辞めたときに出た退職金は銀行の定期預金に。節約して作った蓄えも4桁万円あるので金銭的な不安は小さい。今の倍のペースで引き出しても95歳頃までやっていけそうだ。

「年金生活」を見据え、約20年前に都営住宅に入居

野坂さんが完全な年金生活に入ったのは70歳になってから。パート勤務していたビジネスホテルで定年となったためだ。

 

「本音を言えばもう2年ぐらい働きたかったわね。頭はしっかりしているし耳もちゃんと聴こえる。糖尿とか高血圧もないけどルールだから仕方ない。働けそうなところを探してみたけど駄目でした。満70歳のおばあさんを使おうっていう奇特な会社はありませんよ。求人情報誌で一番募集が多いビル清掃も、68歳までと言う注釈がついていましたもの」

 

今の生活は物価高の影響をひしひしと感じているが、都営住宅で家賃が安いのは助かっている。場所は江戸川区で都営地下鉄新宿線の沿線。昭和44年築と古いがスーパーリフォームしているので内部はきれいだ。

 

「1DKで狭いけど家賃は2万3000円なんです。同じ駅の近くにあるアパートは5万円以上だから本当に助かっている」

 

都営住宅に入居申し込みを始めたのは、息子が専門学校を卒業して社会人になった04年から。単身者可という募集は少なかったが6回目の応募で抽選に当選、08年11月に入居し現在に至っている。

 

「マイホームが持てればいいけどそれは無理。歳を取ったときに家賃で困らないよう早く手を打ったのが良かったと思う。今も民間のアパートだったら生活するのは相当きつい。そもそも高齢者に貸してくれるか分からないでしょ。何事も先を見越して備えなければ駄目なのよ」

 

 

次ページ悩みの種は「食料品の高騰」

※本連載は、増田 明利氏の著書『今日、年金暮らしになった』(彩図社)より一部を抜粋・再編集したものです。
※本記事はノンフィクションルポルタージュであり、登場する人物のストーリーには脚色を加えていませんが、プライバシー保護の観点から氏名は仮名としてあります。

今日、年金暮らしになった

今日、年金暮らしになった

増田 明利

彩図社

人生100年時代といわれる現代。本当の年金生活を知るのは怖いかもしれないが、知っておいた方がよいし、そのためには当事者の声を聞くのが一番。このような思いで年金生活者の方々の声を集めてみた。 そこで実感したのが高…

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