結婚を考える長女…「まさかの一言」に絶句
住宅購入から数年が経ったころ、長女にオンラインで知り合った交際相手ができました。遠距離のため数ヵ月に一度、泊まりがけで会っているようです。話が進むにつれ、「結婚したら家を出るかもしれない」という話が浮上します。
マミコさんは不安になり、「もし家を出たら、住宅ローンはどうするの?」と長女に尋ねました。
「もう住まなくなったら、払わなくていいんじゃない?」
呑気な長女の答えを聞いたマミコさんは、思わず言葉を失いました。
連帯債務とは、それぞれの債務者が全額の返済義務を負う契約です。「住まなくなったから払わない」は通用しません。長女が家を出ても、ローンの義務は消えないのです。
では、長女の分をマミコさん一人で背負えるかというと、それもギリギリです。払えないわけではないものの、生活はカツカツになります。そうなれば、長男や次男にも負担を求めなければならない事態になりかねません。
「猫と暮らす」という夢のために手に入れた念願のマイホームが、いまや家族全員の人生を縛りつける、重たい足かせに変わろうとしていたのです。
【CFPが解説】親子の「連帯債務」に潜む2つの落とし穴
マミコさんのようなケースは決して珍しくありません。親子で安易に住宅ローンを組む際、事前確認を怠ると将来の破綻を招きかねない「2つの落とし穴」が存在します。
1. 親子の「想定外」がそのまま返済リスクに直結
一つは、「その後のライフプランの変化まで想定しましたか?」という問いかけです。35年という長い返済期間のなかで、「子どもが結婚する」「体調を崩す」「収入が変わる」といった変化は、ほぼ確実に起きます。
特に親子の連帯債務は、子どもの人生の変化がそのままローンのリスクに直結します。「今は一緒に返せる」という判断だけで組んでしまうと、数年後に想定外が起きたとき、親一人に全額の返済義務が残ることになります。購入前に「長女が家を出たら」「介護職で体を壊したら」といった複数のシナリオを試算しておくだけで、今回の「焦り」は防げたかもしれません。
2. 残債割れの恐怖…「手放せばいい」という前提の危うさ
もう一つは、「売ればいい、は本当に成立しますか?」という問いかけです。マミコさんは「子どもたちが独立したら売ればいい」と考えていました。たしかに、その気持ちはわかります。
しかし、住宅は年数が経つほど価格が下がりやすく、売却金額がローン残債を下回るケースは珍しくありません。家を手放しても借金だけが残るリスクを、売る前提で考えているときほど見落としがちです。マミコさんはもともと国民年金のみの加入期間が長く、老後の年金額は多くありません。老後資金の蓄えもほとんどない状態で、住宅売却が「最後の切り札」にならなかった場合のダメージは、計り知れないのです。
