「何、この音…」上階住人の引っ越しで環境一変
平穏を破ったのは、真上の部屋の住人が変わったことでした。以前住んでいた老夫婦が退去し、新しく引っ越してきたのは、4歳と2歳の子どもがいる4人家族。最初の挨拶では丁寧な印象で、内藤さん夫婦も笑顔で応じたといいます。
しかし、悪夢はすぐに始まりました。
「頭上からピアノの音が聞こえるようになったんです。それも、お世辞にも上手とはいえなくて。同じフレーズを何度も間違えては止まり、また最初からやり直す。ヘッドホンをしても、振動音が響いてきて……」
さらに内藤さん夫婦を追い詰めたのが、夕方から夜にかけて激しくなる、子どもの足音と生活音でした。
「ソファかベッドから直接飛び降りているような、『ドンッ!』という衝撃音。それが何度も繰り返されるんです。おもちゃを床にぶちまけるような音や、引き戸を力任せに閉める振動も部屋全体に響く。以前住んでいた賃貸のほうがよっぽど静かでした」
内藤さんは管理会社を通じて、何度も状況を伝えました。しかし、「気をつけますが、子どものすることなので」「マットは敷いています」という返答。注意が入った直後は少し静かになるものの、すぐに元通りに。
精神的に先に限界を迎えたのは、妻でした。
「いま彼女は実家に避難中です。静かな時間帯でさえ『また、あの音が鳴るんじゃないか』と天井を見上げるようになって、体調を完全に崩してしまったんです。『賃貸のほうがよかった、すぐ引っ越せるのに』とまで言っていて……」
内藤さんは深い溜息をつきます。
「あんなに話し合って、1年も探して納得して買った家なのに、何のために高いローンを払っているのかわからなくなりました。他の条件は最高だから、手放すのも悔しくて。まだ動けずにいます」

