資産1.2億円でも「自由」になれない…53歳会社員が陥ったジレンマ
都内の企業で管理職を務める古川さん(仮名・53歳)は、独身で実直にキャリアを築いてきたベテラン会社員。年収は1,000万円を超え、生活を切り詰めながら愚直に資産運用を続けてきました。
その甲斐あって、総資産はついに1億2,000万円を突破。誰もが羨む「億り人」の仲間入りを果たしました。
お金を貯めてきた目標は、今の辛い仕事から解放され、本当の自由を手に入れること。国内外の行きたい場所をのんびり旅したり、新しい分野の勉強に没頭したり……。
しかし、資産がこれだけ貯まってもなお、どうしても退職届を出すことができないのだといいます。
実は古川さん、かつては資産5,000万円で「サイドFIRE(セミリタイア)」を目指していました。40代前半でその金額を達成したものの、「あと2,000万円あればもっと安心できる」と退職を先送り。その後も相場の上昇で資産は増え続け、気づけば1億2,000万円を超えていました。
しかし、資産が倍以上になった今も、不安は消えていません。
「いまの資産の大部分は株や投資信託です。数字上は1億円を超えていても、リーマンショック級の暴落が来れば数千万円単位で減るかもしれない。物価も上がっていますし、90歳、100歳まで生きることを考えたら、本当に足りるのか分からないんです」
さらに、古川さんにはもう一つの迷いがありました。
「もし退職して、『やっぱり働きたい』と思っても、再就職はかなり難しいと思うんです。会社を辞めるのはいつでもできますが、戻ることはできない。年を取るごとに保守的になってしまった。今となっては、『40代前半で思い切って辞めてみるべきだった。失敗してもやり直せたのに』……そう思ってしまいます」

