日本国民を震撼させた「老後資金2,000万円問題」だが…資金計画に影響する「もう1つの重要データ」の存在【FPが解説】

日本国民を震撼させた「老後資金2,000万円問題」だが…資金計画に影響する「もう1つの重要データ」の存在【FPが解説】

過去に国会でも取り上げられた「老後2,000万円問題」。当時、多くの人が衝撃を受けましたが、老後の資金計画を考えるうえで、もう1つ、忘れてはならないデータがあるのをご存じでしょうか。老後を穏やかな気持ちで過ごすために知っておくべきデータについてみていきます。本稿は、小林篤典氏の著書『父が溶かした退職金 【下】』(ゴールドオンライン新書)から一部を抜粋・再編集したものです。

もう1つ重要なデータ:老後の余裕資金

同じ2017年の家計調査には、もう1つ「余裕資金」という重要なデータがあります。それがなんと2,433万円です。

 

整理すると、

 

●これからの老後生活30年で2,000万円必要

●でも、すでに2,400万円持っている

 

このような結果です。

 

「なんだ、問題ないじゃないか」――そう思いませんか?

平均値が当てにならない理由

ここで冷静に考えてみましょう。貯蓄のない人が、毎月5万円以上の赤字を垂れ流す生活など、できるはずがありません。当たり前ですよね。

 

●貯蓄がない人→節約して赤字を出さない生活をするしかない

●貯蓄がある人→余裕を持って取り崩す生活ができる

 

それだけの話です。

 

さらに問題があります、このデータは「平均値」ということです。この統計には、資産10億円の人も含まれています。お金持ちが平均値を引っ張り上げています。だから、平均値で議論しても意味がありません。「私の場合はどうなのか」を考えることが重要なのです。

2,000万円問題の数値は「毎年変わる」

総務省家計調査は毎年実施されています。同じ計算を他の年でやるとどうなるか気になりませんか。その結果が[図表]です。ここまでの2,000万円問題の数値は2017年のところに書かれています。

 

出典:『父が溶かした退職金 【下】「お金の真実」を学び、心穏やかに生きる知恵』(ゴールドオンライン新書)より抜粋
[図表]30年間の老後生活のために準備しておくべき額と貯蓄額 出典:『父が溶かした退職金 【下】「お金の真実」を学び、心穏やかに生きる知恵』(ゴールドオンライン新書)より抜粋

 

また、このグラフの2020年は特徴的です。この年はコロナウイルスで活動を自粛して支出が減った年です。多くの家庭の支出が減ったことで、必要準備額がほぼゼロという結果となっています。そして、その他の年も大きく変動しています。つまり、そもそも2,000万円という数字にそれほど意味がないのです。

 

 

一方で、貯蓄額はどうでしょう。毎年、ほぼ2,400万円近辺で安定しています。

 

この2つのデータは何を意味するのでしょうか。

 

貯蓄の範囲で取り崩しながら老後生活をしている」ということです。

 

貯蓄額以上には取り崩せないのだから、当たり前のことですね。

 

 

※ 本記事は書籍の内容を抜粋・掲載したものであり、最新の法令・制度とは異なる場合があります。実務にあたっては必ず最新の情報をご確認ください。

 

小林 篤典
FP事務所 きずな 所長

 

 

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※本連載は、ゴールドオンライン新書で刊行された書籍から一部を抜粋・再編集したものです。

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