無理を重ねた先に見えた、家族との向き合い方
決定打となったのは、夏休みでした。長女夫婦の仕事が忙しく、洋子さんは週に3日、孫を昼から夕方まで預かることになりました。昼食を作り、宿題を見て、暑い日はショッピングモールへ連れて行く。帰宅した孫たちは楽しそうでしたが、洋子さんは夕方にはぐったりしていました。
その月の家計簿を締めると、食費と交通費、外出費だけで普段より3万円以上増えていました。さらに翌月には固定資産税の支払いもあります。洋子さんは通帳を見ながら、初めてはっきりと不安を覚えました。
「このまま続けたら、私たちの老後は大丈夫なのかしら」
夫も同じ思いでした。老後資金には限りがあり、医療費や介護費、住宅修繕費を考えると、使い道の決まっていない余裕資金ばかりではありません。
厚生労働省の「地域子ども・子育て支援事業」では、放課後児童クラブやファミリー・サポート・センター事業など、家庭だけに負担を集中させないための支援制度が設けられています。祖父母の協力は心強いものですが、すべてを家族内の善意に頼ると、負担が見えにくくなることがあります。
洋子さんは、思い切って長女に話しました。
「孫たちはかわいい。でも、毎週のように預かるのは体力的にもお金の面でも少し厳しくなってきたの」
話し合いの結果、孫を預かる日は週1回を基本にすることにしました。急な残業のときは事前に相談し、夏休みなど長時間になる場合は、放課後児童クラブや地域の支援も使う。食費や外出費についても、長女夫婦が一定額を渡すことになりました。
線引きをしたことで、洋子さんの気持ちは軽くなりました。以前は孫が来る前に食費や予定を気にしていましたが、今は無理のない範囲で会えるようになりました。
孫をかわいがっていても、すべてを引き受ける必要はありません。祖父母にも体力や家計の事情があり、無理を重ねれば老後の暮らしそのものに影響が及ぶこともあります。
お互いの負担や役割を家族で率直に話し合い、無理のない形で支え合うことが大切です。それが、これからも長く、穏やかに孫との時間を楽しむための第一歩といえるでしょう。
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