今回は、家系図作りや、財産分与をする上で知っておきたい、民法上「実は親族ではない人々」を紹介します。※本連載は、株式会社横浜クリエイションの取締役で、日本家系図学会の理事でもある岩本卓也氏の著書、『なぜいま家系図を作るべきなのか?』(エイ出版社)の中から一部を抜粋し、家系図を作ることで、どのようなメリットがあるのかを解説します。

姉の配偶者の親は親族か?

さて、ここでは問題形式で確認していきましょう。あくまで民法上の親族の定義に関する問題です。次に挙げる方々は、あなたにとって親族といえるでしょうか?

 

第一問です。「自分の兄弟の結婚相手は、親族でしょうか?」

 

もちろん親族です。自分の兄弟と同じ2親等ですが、血族ではないので姻族の2親等となります。

 

では第二問です。「自分の配偶者の兄弟姉妹の結婚相手は、親族でしょうか?」

 

この場合は、民法上では親族ではありません。前回説明したとおり、「姻族の姻族は親族ではない」わけです。自分にとっての妻(配偶者)の妹(姻族)の夫(姻族の姻族)などです。

 

では、第三問。「自分の姉の結婚相手の両親は、親族でしょうか?」

 

この方々も民法上は親族ではありません。この場合は、「血族の配偶者の血族」であり、たとえば、自分にとっての姉(血族)の夫(血族の配偶者)の親(血族の配偶者の血族)ですね。

 

つまり、こうした方々とは、民法上で規定される財産分与などで関与することは、ほとんどなくなるというわけです(正しく書かれた遺言書などに明記されている場合は除きますが)。

 

民法上の親族でなくても、近い存在になりえる場合も

民法では「6親等内の血族」と「3親等内の姻族」「配偶者」が親族だと定義されていますので、その親等を越える方々も親族ではありません。たとえば上記にあるような「はとこの子供」(7親等の血族)などです。

 

また、「配偶者の連れ子」の場合は、血族ではなく、1親等の姻族になりますので、「連れ子のひまご」(4親等の姻族)も親族ではありません。しかし、こうした親類縁者は、一般的な生活においては近い存在になりえますよね。

 

家系図作成の動機が、知っている縁者の網羅であれば、こうした人々が加わるのは、どちらかといえば自然かもしれません。ここでの例は、あくまで民法上における親族の定義だということをご了承ください。

 

 

なぜいま家系図を作るべきなのか?

なぜいま家系図を作るべきなのか?

岩本 卓也

エイ出版社

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