「会社に縛られず、自由に生きたい」――。そう考え、資産形成に励みFIREを目指す人が増えています。ですが、十分な資産を築けば、それだけで幸せなリタイア生活が始まるとは限りません。今回の事例の江藤さんも、そうでした。FIREが可能になる目標額を超え、上機嫌で妻に報告したものの、返ってきたのは「まさかの言葉」だったのです。

FIREが“お金だけ”では成立しない理由

FIREというと、「運用益をベースに会社に縛られない自由な生活ができる」というイメージで語られがちです。ですが実際には、“お金”だけで成立するものではありません。特に夫婦の場合、「生活リズム」と「距離感」の問題があります。

 

会社勤めをしている間、夫婦には自然な物理的距離があります。平日の昼間は別々に過ごし、それぞれの世界を持つ。だからこそ、適度なバランスが保たれているケースも少なくありません。

 

また、フルFIREで勤労収入がゼロになれば、たとえ運用益で生活する想定でも、節約への意識は強くなります。「家で過ごそう」「外食は減らそう」――2人で家ばかりにいることで、互いがストレスになることも、想像に難くありません。

 

もちろん夫婦で価値観が一致し、心地よい距離感を保ちながら暮らしているケースもあります。ただ、自由になるためのFIREが、パートナーにとっては「自由を失う話」に聞こえることもあるわけです。

 

亜希さんの反応を通じて、初めてその現実に気づかされた将大さん。今、彼は悩みながらも会社員生活を続けていると言います。

 

「だって、僕が家にいると嫌だっていうんですから……。辞めたって1日中外をぶらつくことになります。それでも、妻は僕と別れたいわけじゃない。『65歳になったら、ずっと家にいるのは構わない』っていうんですよ(笑)。結局、それまでは会社員を続けることになるかもしれません」

 

 

 

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