ベッセント財務長官の来日をきっかけにさらなる円高拡大の可能性も…今週の米ドル/円予想「153~158円」の根拠【国際金融アナリストが解説】

5月12日~5月18日の「FX投資戦略」ポイント

ベッセント財務長官の来日をきっかけにさらなる円高拡大の可能性も…今週の米ドル/円予想「153~158円」の根拠【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

4月30日、日本の通貨当局は2024年以来となる円安阻止を目的とした為替介入(米ドル売り・円買い介入)に踏み切ったとみられ、GW期間中にも1~2回の追加介入が行われた可能性があります。しかし、介入直後には米ドル/円が160円台から155円台まで急落しましたが、足元では155円を下抜けるまでには至っていません。本稿では、今週のドル/円レンジを予想するとともに、その背景にある要因と、2024年までの介入とは大きく異なる「米国の存在感」について、マネックス証券チーフFXコンサルタント・吉田恒氏が解説します。

トランプ訪中、CPI発表など注目イベント目白押しの今週

今週は、ベッセント米財務長官が来日し、12日に高市総理らとの会談が予定されています。また14日からはトランプ大統領が訪中する予定です。米経済指標では、原油価格急騰を背景にインフレ再燃が懸念されるなか、4月のCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)などの発表が注目されるでしょう。

 

こうしたなか、一部報道では、ベッセント財務長官と高市総理の会談で「投機的な円売り」が議題にのぼる可能性が指摘されています。もし事実であればかなり異例といえそうですから、その行方にはおおいに関心が集まりそうです。

 

2024年までの円安阻止政策とは違い、米国が強く関与か

すでに見てきたように、日本の通貨当局は4月末から2024年以来の円安阻止介入を再開しました。ただし、介入が始まった米ドル/円の水準を5年MAとの関係などでみると、過去の局面とは大きく異なっています(図表6参照)。

 

これは、今回の円安阻止政策が、日本単独で行った2024年までのものとは大きく変化している可能性を感じさせるものです。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表6]米ドル/円の5年MAかい離率(1990年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

介入の前段階とされる「レートチェック」が1月23日に行われた際に、結果として米国の通貨当局も「レートチェック」を行ったことで日米協調での円安けん制の形となりました。これについては一部報道で「日本からの要請ではなくベッセント財務長官が主導したもの」と伝えられています。

 

こうした点を踏まえると、今回の円安阻止政策は、2024年までの日本単独の対応から、米国が強く関与し、ある意味ではむしろ米国主導へとシフトしている可能性も考えられます。

 

そういったなかで、ベッセント財務長官と高市総理らとの会談では、「投機的な円売り」が議題にのぼるとされています。円安の要因としては、日本の低金利や財政規律への懸念も指摘されていますが、ある財務省関係者はベッセント氏がこれらの見直しの必要性も直接指摘する可能性があるとの見方を示しました。

 

もし円安阻止において日米の利害が一致し、さらに米国が主導的な立場を取っているのであれば、必要に応じて日米協調での米ドル売り介入に踏み込むかどうかも注目されるところです。

 

今週の米ドル/円予想レンジは153~158円

以上を踏まえると、ベッセント来日を受けて、円高が一段と広がる可能性もあるでしょうから、今週の米ドル/円は「153~158円」と予想します。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

 

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