不要な調査に150万円、宅配ボックスは故障放置…「3年間巡回ゼロ」の管理会社に主導権を握られたマンションの〈ガバナンス不全〉【マンション管理士が解説】

不要な調査に150万円、宅配ボックスは故障放置…「3年間巡回ゼロ」の管理会社に主導権を握られたマンションの〈ガバナンス不全〉【マンション管理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

マンション管理の現場では、管理会社への過度な依存による「ガバナンス不全」が問題化しています。築13年の分譲マンションで理事長に就任したAさんは、150万円の目視調査や、担当者による「3年間巡回ゼロ」といった管理会社の不適切な対応に直面しました。なぜ管理会社の主導や業務の形骸化は起きてしまうのか。マンションの統治構造の空洞化を防ぎ、住民が主体性を取り戻すためのプロセスを、マンション管理士の松本洋氏が解説します。

発覚した「3年間巡回ゼロ」と施設放置の事実

Aさんは状況を変えるため、理事会決議のもとで自主点検と勉強会を企画しました。管理会社は消極的で、議事録案にも記載しないなど妨害に近い対応を見せたものの、Aさんは住民に呼びかけ、少人数ながら点検を実施します。

 

そこで、想像以上の問題が明らかになりました。

 

防災倉庫の鍵の所在を誰も把握していなかったり、理事会が知らないキーボックスが敷地内に2ヵ所も設置されていたり、宅配ボックス12台中6台が7ヵ月以上故障したまま放置されていたのです。

 

さらに衝撃的だったのは、B氏が担当して3年間、一度もマンションを巡回していなかった事実でした。

 

これまで無関心だった理事たちも、ようやく事態の深刻さを理解し始めました。

管理組合が主体性を取り戻す第一歩

今回の事例を受け、理事会では次の改革が進みました。

 

議事録は管理規約通りに「理事長が作成」することとし、管理会社作成のものはあくまで「素案」と位置づけました。また、自主点検の継続と住民参加の仕組みづくりを進め、オブザーバー参加を含めた監視機能を強化しました。Aさんは継続性確保のため来期も理事長を務める意向を示しています。

 

管理会社の対応は今後も注視が必要ですが、管理組合が主体性を取り戻す第一歩となりました。このマンションでは現在、ついに管理会社変更の検討が始まっています。

次ページマンションの未来を守るのは住民
不動産を受け継いだら「相続登記」を急ぎなさい

不動産を受け継いだら「相続登記」を急ぎなさい

佐伯 知哉

幻冬舎ゴールドオンライン

親名義の不動産を相続したら、必ず3年以内に「所有者名義の変更」を! 2024年4月より義務化された「相続登記」。正当な理由なく放置した場合、10万円以下の過料(行政罰の一種)の適用対象になる。 「3年以内なら余裕で…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧