税金で人は動く――州ごとに税率が異なるアメリカと全国ほぼ一律の日本【国際税理士が解説】

税金で人は動く――州ごとに税率が異なるアメリカと全国ほぼ一律の日本【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では確定申告が終われば、税務署への手続きだけで納税は完結します。地方税も自動的に計算・通知される仕組みです。一方、アメリカでは連邦と州それぞれに申告が必要であり、州ごとに税率や制度は大きく異なります。この違いは単なる制度の差ではなく、人や企業の移動、さらには地域格差の構造そのものに影響を与えています。2026年4月末に『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』を刊行したばかりの奥村眞吾税理士が、税制が人の流れを左右するアメリカと、そうでない日本――その決定的な違いを解説します。

日本はなぜ変わらないのか――中央集権的な地方税制

日本では、地方税法は国が定めており、地域ごとの税率差はほとんどありません。自治体の裁量は限定的で、税制によって地域の魅力を大きく変えることは困難です。

 

税収は東京都に集中し、地域間格差が拡大しています。税制が全国一律である中で、ビジネスや教育、所得機会は都市部に偏在し、人の流れも首都圏に集まり続けています。

 

もし日本でも、地方自治体に税制の裁量を委ねることができれば、「都市部は税負担が重い」「地方は税制面で有利」といった差が生まれます。その結果、人や企業の流れが変わる可能性があります。

 

税制は単なる制度ではなく、地域戦略そのものです。どこに人が集まり、どこが衰退するのかは、税制によって左右され得ます。

問われる有権者の視点

しかし現状の日本では、有権者が地方選挙において税制を重視する意識は高いとはいえません。国政では生活への影響を重視する一方、地方政治に対する関心は相対的に低いままです。

 

地方創生が叫ばれるなかで、税制と自治のあり方が改めて問われています。アメリカのように税制が人の流れを左右する社会と比較すると、日本の中央集権的な構造は依然として大きな課題を抱えているといえるでしょう。

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

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