州ごとにここまで違う税率――無税の州と高税率州
アメリカには個人所得税が存在しない州もあります。代表的なのが、フロリダ州、ネバダ州、ワシントン州です。
一方で、カリフォルニア州では最高税率が13.3%に達します。同じ国でありながらこれほどの差があることは、日本の感覚ではにわかに想像しにくいものです。
こうしたなかで変化も起きています。これまで州所得税がなかったワシントン州では、ボブ・ファーガソン知事が、年収100万ドル超の富裕層に対する新たな課税導入を打ち出しました。
2028年から超過分に9.9%の税率を課す方針で、税収は保育支援や学校給食の無償化、働く世帯への税額控除、小規模事業者支援などに充てられるとされています。背景には、ドナルド・トランプ政権下の連邦政策との対立も指摘されています。
富裕層課税をめぐる全米の動き
富裕層課税の強化は他州にも広がっています。マサチューセッツ州では、年収100万ドル超に4%を上乗せする制度が導入され、税収増につながりました。
また、コロラド州では高所得者に増税しつつ中低所得者の負担を軽減する政策が掲げられ、ロードアイランド州でも同様の議論が進んでいます。カリフォルニア州では、超富裕層に対する一時的な資産課税について住民投票が予定されています。
これとは対照的に、いわゆるレッドステートでは減税の流れが強まっています。ミシシッピ州やオクラホマ州では個人所得税の廃止が検討され、サウスカロライナ州では最高税率の引き下げが進められています。
ミズーリ州でも段階的な廃止が議論されており、州ごとの税制競争は一段と鮮明になっています。
このようにアメリカでは、州ごとの税制の違いが人や企業の移動に直接影響します。税負担の軽い州へ移住する、高税率州から企業が流出する――こうした動きは現実に起きています。税制は単なる財源確保の手段ではなく、人の流れを動かす強力な政策ツールとなっています。
