(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢期の暮らしにおいて、家族との関係は大きな支えになります。一方で、その距離が近すぎることで、日常の負担につながることもあります。善意や好意から始まった関わりであっても、頻度や役割が固定化されることで、当事者にとっては負担として積み重なっていくケースも少なくありません。

「うれしい」と「負担」のあいだで揺れた選択

転機となったのは、ある日曜日の夕方でした。その日も息子家族が訪れ、昼食を囲んだあと、孫はリビングで遊び、夕方まで過ごしていきました。

 

帰り際、祐一さんが何気なくこう言ったといいます。

 

「来週もまた来るね」

 

その言葉を聞いた瞬間、洋子さんは思わず言葉を失いました。

 

「そのとき、“ああ、また来週もこれがあるんだ”と思ってしまったんです」

 

自分でも驚くほど、疲れが溜まっていたことに気づいたといいます。その夜、洋子さんは息子にメッセージを送りました。

 

「毎週来てくれるのはうれしいけれど、少し間隔を空けてもらえないか」

 

手が震えたといいます。

 

「嫌われるかもしれないと思いました。でも、このまま続けるのも違うと思って」

 

数時間後、祐一さんから返信がありました。

 

「そんなふうに思っているとは気づかなかった。ごめん」

 

その言葉に、洋子さんはほっとしたと同時に、どこか拍子抜けしたような気持ちにもなったそうです。

 

「言わなければ伝わらないんだと、あらためて思いました」

 

その後、訪問は月に1〜2回程度に減りました。来るときも事前に相談し、食事は持ち寄ることが増えたといいます。何かが劇的に変わったわけではありません。それでも洋子さんは、「今の距離感のほうが長く続けられる」と感じています。

 

「孫に会える時間は大切です。でも、自分の生活も同じくらい大事にしたいと思うようになりました」

 

家族との関係は、近ければそれでうまくいくものではありません。関わり方を調整することも、関係を続けるための一つの選択です。

 

「無理をして続けるより、少し余裕を残したほうが、結果的に良い関係でいられるのかもしれません」

 

孫の成長を見守る喜びと、自分の生活を守る感覚。そのあいだで揺れながら、洋子さんは少しずつちょうどいい距離を見つけていきました。

 

 

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