娘からの孫連れ来訪予告…喜びよりも「溜息」
「お母さん、ゴールデンウィークも泊まるから準備よろしくね!」
受話器の向こうで弾むような娘の声。
「うん、わかった。待ってるね……」
そう答えて電話を切ったものの、その表情はさえず、つい溜息が零れたのは、間宮悦子さん(仮名・69歳)。悦子さんは地方のとある町で夫と二人暮らしで、夫婦の年金は合わせて月20万円ほど。貯蓄は約1,400万円です。
日々の生活に困るほどではないものの、長い老後を思えば決して余裕があるとは言えず、外食や娯楽は控え、慎ましい暮らしを続けています。
そんな悦子さんにとって、ここ数年で大きく変わったのが「娘との距離感」でした。
一人娘の理香さんは大学卒業後に就職し、そのまま一人暮らし。電車で2時間ほどの距離でしたが、多忙を理由に実家に帰ってくるのはお盆とお正月くらい――そんな関係が長く続いていました。
ところが、4年前の出産を機に状況は一変します。娘一家は悦子さんの住む実家から2駅の距離に引っ越しをしてきました。
「最初は、私を頼ってくれるのも、孫に会えるも嬉しくて仕方なかったんです」
そう振り返る悦子さん。しかし、その嬉しさは次第に別の感情へと変わっていきました。
理香さんが子どもを連れて実家へ来る頻度は徐々に増え、毎週末に近いときも。1泊は当たり前。お正月やゴールデンウィーク、夏休みといった長期休暇になれば、3泊、4泊、時には5泊と滞在が長引くことも珍しくありません。
「どこに行くにも高くて混んでいるでしょ? だから旅行や遊園地に行く代わりに、うちに来るんですよ。私が色々やってあげるから、きっと楽なんでしょうね。でもねぇ……」

